米国のCTV広告リーダー企業はRoku
──米国を中心にCTV広告市場は大きな盛り上がりを見せています。
塚本(ワイズ・メディア):米国では動画配信サービスの価値が早くから認識されていました。元々ケーブルテレビや衛星放送に高い受信料を支払っていた人からすると、「Netflix」や「Amazon Prime Video」「Disney+」などは、コンテンツの充実度や視聴体験、コストの観点で非常に魅力的だったからです。
塚本(ワイズ・メディア):そんな中、数多あるチャンネルは無料広告型かつリニア放送型の配信プラットフォーム「FAST(Free Ad-supported Streaming TV)」に参画し始めました。日本で言う「ABEMA」のようなものです。FASTの主要プレイヤーとして知られる「Roku Channel(ロク チャンネル)」では、350以上のチャンネルが番組を配信しています。Rokuはアドネットワークも展開しており、同社の売上の約8割をCTV広告が占めているような状況です。
──CTV広告の強みや可能性をどのように捉えていらっしゃいますか?
塚本(ワイズ・メディア):インターネットと放送の“いいとこどり”をしたものがCTV広告だと思います。まず注目しているのが完視聴率の高さです。TVerのデータを見ると、CTV広告の完視聴率はモバイル広告やWeb広告よりも高いことがわかります。このことは視聴者の認知や購入に大きな影響を与えるはずです。また、計測やターゲティングが可能な点も強みだと思います。
佐々(Adjust):プライバシー保護のための環境変化により、確定的なデータが取りづらくなる中、CTVはモバイルアプリマーケターの方々からも新しいメディアとして注目されています。
佐々(Adjust):CTV広告なら、テレビ画面という大きなスクリーンで動画や音声を流すことができます。複数人で一緒に広告を見る「共視聴」も可能です。視聴者に強いインパクトを残せますし、手元にスマホを置いて視聴する人が多いため、広告を見た後の行動を促しやすく、モバイルアプリとの親和性も高いと考えます。
CTVの価値をメディアが把握できていない
──米国でCTV広告が盛り上がりを見せる一方、日本はその後を追いかけている状況です。日本においてCTV広告の活用を促進するにあたり、どのような課題があると思いますか?
塚本(ワイズ・メディア):メディアサイドの課題としては、プレイヤーの圧倒的な少なさが挙げられます。米国ではプレイヤーもチャンネルも多いため、広告の在庫が豊富なのです。つまり、クライアントのニーズに合わせて広告を配信することができます。まずはプレイヤーの数を増やし、マーケットを広げる必要があるでしょう。
野村(フジテレビ):日本は米国よりもモバイルの電波がつながりやすいため、スマホでOTTサービス(インターネットを介して視聴者に直接提供されるメディアサービス)を利用する方が非常に多いのです。プレイヤーの数に加えて、CTVを視聴する人も当然増やさなければなりません。
野村(フジテレビ):CTVの価値をメディア側が十分に把握していないことも関係しているでしょう。他の媒体ではなくCTVに広告を出稿することにメリットがあると証明できなければ、活用は難しいものです。
塚本(ワイズ・メディア):価値と言えば、日本に限らず米国でもCTV広告の投資対効果を測定する方法に悩む企業は多いようです。やはり指名検索やSNS広告のほうがROIの達成率をわかりやすく測ることができますから。クロスデバイスでの効果測定など、価値を測る方法を広めることもCTV広告の活用を促すための必須条件だと思います。
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