顧客接点を網羅する「コミュニティタッチ」
こういった問題をすべて解決する新たなタッチポイントとして、田中氏が提案するのが「コミュニティタッチ」だ。
コミュニティタッチは、1つのデジタルコミュニティを中心に、ハイタッチ、ロータッチ、デジタルタッチのすべての要素を詰め込んだタッチポイント。機能例として、チャットによるカスタマーサポート(ハイタッチ)、リアルイベントへの送客やオンラインイベント開催(ロータッチ)、メディアや掲示板、アプリ、EC連携(デジタルタッチ)などがある。
その中心となるデジタルコミュニティは、「クローズドなSNS」「メディア」「テクノロジー」の3つの機能を含む。コミュニティの中で、顧客同士の交流や企業からのコンテンツ提供のほか、データ取得・統合やポイントプログラム、会話のテキストマイニングなどが可能になる。それが顧客理解、相互コミュニケーション、顧客ニーズに応えるコンテンツ提供につながる。
「デジタルコミュニティを顧客と企業の中心に置いて、コミュニケーションのハブにする。そして、コミュニティ内での活動や会話のデータをフィードバックし、新商品開発やプロモーションに反映させるエコシステムの構築を目指しています」(田中氏)
デジタルコミュニティの“型”
デジタルコミュニティの活用方針は4つある。1つ目は事業として、サブスク制のファンクラブや情報メディアを運営し、収益を上げること。2つ目はセールスの領域で、取引先との関係構築や見込み顧客の育成を目的としたコミュニティ活用。3つ目がマーケティングとカスタマーサクセスの領域で、アップセル・クロスセル、継続率の向上などを目的としたコミュニティ活用。最後の4つ目は、社内のエンゲージメントを高めるための社内交流コミュニティだ。
同社の事業としてのデジタルコミュニティ運営には、プロゴルファーの片岡尚之選手のファンクラブ事例がある。顧客データ分析によってファンのタイプを6タイプに分類。それぞれのタイプに応じたコンテンツを提供している。
他の3つの活用方針では、目的や課題に応じて一定の型を用意しており、それを基本にカスタマイズしていく。たとえば、マーケティングとカスタマーサクセスの領域で、エンゲージメントを目的としたコミュニティの型には「サポートコミュニティ型」と「レビュー・共創型」がある。
前者の一例が、AWSのユーザーコミュニティ。サービスの理解促進、情報共有などの施策を用意する。後者にはコメダ珈琲店のファンコミュニティがある。顧客と一緒に新しいフードサービスを開発する施策などを実施している。
最後に田中氏は「アメリカで生まれたデジタルコミュニティという概念は、日本だとアメリカより早く浸透している。“Nice to have”から“Must have”へとニーズが変化しています」と強調。認知度の高まりや導入企業の増加に期待感を示した。
コミュニティやカスタマーサクセスに課題を感じている方におすすめ!
コミュニティマーケティング成功のポイントや、ロイヤルユーザー増加による売上アップ方法など、様々なコンテンツをご用意しています!詳しくは特設ページをご確認ください!