ネットワーク理論を理解することの重要さとマーケティング
インターネットの世界は、誰かが計画して形成されたものではない。それは多くの人が知るところである。しかしながら、自然に形成されてきたwwwが、ランダムではなく、ある一定の法則の影響下にあり、秩序を“創発”していたという事実は驚くべき発見である。これまで、自然界は多くの要素が複雑に影響しあい、その姿を解明していくことは非常に困難だと思われていた。しかしながら、ネットワークの研究を通じて、複雑な事象の構造を捉えることができるとなると、これは大きな前進であると言ってよい。
実際のマーケティングでは、人々の行動の総体を原理化しようとすることが多々である。しかし、実感としては「千差万別」であるというのが正直なところであった。このネットワーク理論が注目されるのは、それがすぐにマーケティングに応用できるからではない(実際、現段階では不可能と言ってよい)。重要なのはむしろ、不可視のものを可視のものにしたネットワーク理論の視座が、そのままマーケティングの欲求につながっているからに他ならないのである。ネットワーク理論を本書によって相対的に理解することで、wwwへの視点が変わる。そうなることによって、自然とオンラインマーケティングに対する視線も変わってくるはずだ。
