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MarkeZine Day 2024 Spring

不満足の除去が躍進の鍵 売上高シェア1位の「焼肉きんぐ」は顧客満足度をいかに高めているか

焼肉店がオリジナルの絵本を制作した意図

 写真映えと言えば、デザートメニュー「ぐるぐるまぜてね きんぐスロッピー」も人気だ。デザートは原価が高いため「他社も含めてデザートに力を入れているブランドはなかった」と語る霜山氏。だからこそ「焼肉食べ放題店でおいしいデザートを提供できれば、他社との差別化が図れる」と信じて取り組んだ。

 ファミリー層が多いことを踏まえ、来店のフックが親ではなく子になるような仕掛けも導入している。「やきにくきんぐおこさまスタンプカード」はその一つだ。スタンプを集めるとノベルティがもらえる仕組みだが、霜山氏はただカードを作るだけでなく、オリジナルキャラクターを考案。オリジナルキャラクターが登場する絵本も制作した。

「子どもに『行きたい』と言われたら、親はなかなか断れません。そのため、お子様に『行きたい』と思ってもらえる店を目指しています。絵本を制作したのは、焼肉きんぐの価値をお子様に伝えるためです。好きなメニューが選び放題であることや、皆で食事をする楽しさ、自身が焼いた肉を親に取り分ける喜びなどを、ストーリー仕立てでお子様に伝えたかったのです」(霜山氏)

成熟期の先に待ち受ける衰退期を回避するには?

 霜山氏が焼肉きんぐでマーケティングを行うにあたり、一貫して持ち続けている考え方は次のとおりだ。

1.顧客満足度を追求する際の“最重要顧客”はメイン顧客

売上や客数、購入点数が減ると、マーケットの拡張や新しい層に向けたアプローチをしたくなるものだ。しかし、それによってメイン顧客が来店しづらくなってしまっては本末転倒。「あくまでメイン顧客の満足度を第一に考えることが大切」と霜山氏は強調する。

2.顧客満足度向上の入り口は「不満足の除去」と「基本価値の向上」

突出して良い商品が一つあったとしても、一つだけでは顧客が来店する理由にならない。「それよりも、顧客が『ちょっと嫌だな』と思うものをなくすことのほうが重要」と霜山氏は述べる。また、新しい価値を付加した結果、本来の価値が薄れてしまっては意味がない。「何かを強化する前に、自社の基本価値を十分に高めておくべき」との考えだ。

3.成熟期を迎える前に成長期を伸ばす

「『これ以上何をすれば良いのだろう』と思った時点で成熟期を迎えてしまっている」と霜山氏。成熟期の先に待ち受けるのは、悲しいかな衰退期だ。自分の中の“ネタ”が減ってきたタイミングで、基本価値の向上と新規顧客層へ向けたアプローチに着手し、成長期をできる限り長く維持することが重要だという。

4.メイン顧客の満足度向上がなければブランドの陳腐化が進む

1と同様「ブランドはメイン顧客によって支えられている」との考えに基づく。メイン顧客の満足度は、常に“維持以上”でなければならないわけだ。

5.業態のコアは絶対に崩さない

焼肉きんぐの期間限定フェアは、基本価値であるグランドメニューが確立されているからこそ成立するのだという。フェアで人気を博したメニューだからと言って、グランドメニューに追加したり、定番商品にしたりはしない。「自分たちは何屋で、誰をターゲットにしているのか。そこを絶対にブレさせないことがポイントです」(霜山氏)

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45082

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