茶葉を届けて、マシンで粉にするという仕組み
この、「抹茶は粉状態でなければならない」というバイアスを打破するために、塚田氏は石臼と抹茶を点てる所作にインスパイアを受け、マシンと粉末になる前の茶葉を届けるという仕組み=Matcha-as-a-Service(MaaS)をデザイン。Cuzen Matchaとして販売を開始した。
Cuzen Matchaの展開に際して、茶葉にもこだわっているという。
「茶葉の状態から抹茶を作るので『茶葉を丸ごと飲んでいる』ことが体感できます。そのため、茶葉もオーガニックでおいしく楽しめるものを厳選しています」(塚田氏)
またコミュニケーションでは、コーヒーに馴染みのある米国人に伝わりやすいように「エスプレッソのお茶バージョン」といった説明をしているという。さらにエスプレッソにはない特徴として、ストレート、ラテだけでなく、スパークリングや水割り、カクテルなどの楽しみ方を提案もしている。
現在、米国を中心にコーヒー市場へ向けて訴求を行なっており、結果、マシンの累計台数、リーフの売上ともに順調に推移し、インフルエンサーにも使用してもらえている。
異なる分野を掛け合わせてユニークネスを作る
ここまで話を振り返りつつ、最後に塚田氏はユニークネスの作り方とイノベーションを起こすヒントについて語った。
「これらのお話を通して伝えたいのは、異なる要素を掛け合わせていくことで、ユニークネスを構築できるということです」(塚田氏)
Cuzen Matchaというサービスは、お茶の世界にハードウェアを持ち込んでいる。また茶道という伝統的かつ本質を追求する精神性に対し、イノベーションを掛け合わせてボタン1つで抹茶を楽しめる快適さを実現させた。
また、「イノベーションを起こしていくためには、小さくものごとを始めて、気づきを得ることが大切」だとも語る。小さなアクションを続け、次に生かして正の循環を作っていくことが重要だ。
「皆さんも何か『これいいな』と感じることがあったら、ぜひ、それを小さい規模でやってみてください。そこからイノベーションが始まっていくはずです」(塚田氏)