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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

実は「マネジメント」は重要ではない?ブランドの進化を妨げないための心得

陳腐化・衰退を避けるには、社会と喜怒哀楽を共にするしかない

田中:では、経営者の役割は、自由なうごめきを促進させるようなことになってくるのでしょうか。

石井:そうですね。ミンツバーグ教授の「コミュニティシップ」という概念と共通していると思います。ミンツバーグは、リーダーシップという概念を否定しています。往々しく「時代はこっちだ!」とリードしていくことを嫌うんです。彼が言うには、現場コミュニティに寄り添う経営者がよいと。良い経営者の典型は、ジョブズや本田宗一郎だそうです。

 また、社会や顧客に寄り添うことも大事です。たとえば、製薬会社のエーザイは「ヒューマンヘルスケア」をコンセプトにビジネスを手掛けています。そのヒューマンヘルスケアですが、30年前と現代のそれは全然別物なんです。もう少し説明すると、近年、エーザイは自治体と協業して、認知症の患者さんが健やかに暮らせるまちづくりに取り組んでいます。これは30年前、人々が「徘徊老人」という言葉を普通に使っていた頃の価値観では、およそ出てこなかった取り組みなんですよね。つまり、エーザイにとって「今のヒューマンヘルスケア」の価値観・社会観をしっかり捉えることは、何よりも重要なこと。これがズレていたり、旧態依然のままになっていたりしたら、もう最悪です。

 では、こうした社会の価値観を捉え続けるためにはどうすればよいか? 答えはシンプルで、ヒューマンヘルスケアの世界にいる人々と喜怒哀楽を共にするしかないわけです。私は、ブランドの背後には「ブランドたるべき条件=ブランドシップ」のようなものがあると考えています。ブランドシップへ日々十分な目配りができているかは、ブランディングにおいてとても大事な話です。

 というようなことを、最近ちょっとダメになってきている企業や、世の中を騒がせているみなさんの対応を見ていて、よく思います。

田中:先生本日はありがとうございました。『進化するブランド』をどう自分の仕事に活かしていくかというお話、大変貴重なものでした。ぜひ、日本の経営層の方々に読んでいただきたいですね。

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この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。東京大学経済学部講師。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣...

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/01 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45132

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