MOpsを導入したアステラス製薬。その背景は
国内でMOpsを設置している事例として、アステラス製薬が挙げられます。アステラス製薬の大石さんは、元々は医療機関を訪問してお薬を提案するMRの仕事をしていた方です。キャリアチェンジの機会にデジタルマーケティングの部署に移動し、現在は日本担当のMOpsとして仕事をされています。

大石さんだけでなく、グローバルでは各地域を担当する人もおり、アステラス製薬全体でマーケティングテクノロジーを活用し、自社に適した環境を作っていく活動に取り組んでいます。
特に力を入れているテーマが、オウンドメディア向けのコンテンツのパーソナライゼーションです。以前はコンテンツ制作に膨大な工数をかけていたものの、コンテンツを一斉に配信して、その後は放置してしまうことが常態化していました。結果、どのくらいのアクセスがあり、どのチャネルから来て、どんな効果をもたらしたのかまでの検証はほとんど実施しておらず、外部のエージェンシーに任せきりにしていたそうです。
したがって、自社のコンテンツにおける具体的な課題分析や改善策のハンドリングを外部に託し、マーケターとしての仕事の多くが、エージェンシー管理に費やされてしまい、デジタル体験構築のライフサイクルを自社で自走できない状況にありました。この課題を解決するために実施したのが、フィールドマーケティングとMOpsの分離です。
開始後2年で、パーソナライズを大改革
具体的には、フィールドマーケターにコンテンツのパフォーマンス分析のスキルを身につけてもらうべく、研修を重ねました。その研修内容は、マーケター自身が担当しているコンテンツを題材に分析の操作方法を学び、問題を発見するためのもの。これらは個人のスキル獲得だけでなく、組織へのプロセスの定着を促すことが狙いでした。
また、お客様に寄り添ったコンテンツをお届けするパーソナライゼーションにも着手。属性軸と行動軸の2つを掛け合わせてセグメントを作り、それぞれに合わせたコンテンツを配信するようにプロセスを変更します。今までの一斉配信と比べると大きな変化だったと言えるでしょう。コンテンツ、データ、カスタマージャーニーの設計と最適化をMOpsとフィールドマーケターと協業して進めることで、メールキャンペーン経由のオウンドメディアへの来訪率が274%と約3倍に増えたとのことです。