経営者の発信はヒト・モノ・カネに効く
経営者の隣に編集者がいると何が起こるのだろうか? まず、経営者は良質で継続的な発信ができるようになる。継続的に発信するようになると、経営者個人がメディア化する。経営者個人がメディア化することで、自然と多くの人に情報が届くようになり、個人の思考・思想・価値観・実現したい未来に共感する人たちが集まってくる。よって、目に見えて効果が表れるのは採用だ。
価値観が近い人々の採用が進めば、サービスの開発やブラッシュアップも加速し、より良いものが素早く形になっていくだろう。その結果、新規の顧客だけではなく、既存顧客のアップセルも加速し、売上が伸びていく。実際、顧問編集者を導入している企業の多くが「採用に大きく影響がある」と答えているそうだ。
「僕はよく『経営者が発信すると三つの変化が生じる』と言っています。大きくヒト・モノ・カネに効くんです。僕たちが対象を経営者に絞っている理由は、経営者こそが企業活動の中心にいて、企業の中で最もレバレッジの効く存在だから。発信の主体が事業部長やサービス開発者でも悪くはないのですが、より多くの人に情報を届けようとするならば、まず経営者が発信することをお勧めしています」(竹村)

VCの目に留まり事業展開に影響したケースも
テクノロジーの発展により、マーケティング施策の「見える化」は近年加速している。そのような状況下では、即効性が何かと期待されがちだ。しかし、企業の施策において「時間軸」という概念は無視できない。
一度でもマーケティングや経営に携わった人であれば、すぐに効く施策と、じわじわと時間をかけて効いてくる施策があることを実感しているだろう。顧問編集者は、様々な時間軸でヒト・モノ・カネに効いていく。短期的には採用に効き、その後モノに影響し、中長期的にはカネにも影響を及ぼすのだ。
また、社外のみならず社内にも大きな影響を及ぼすと言えるだろう。経営者の思考は企業の“核”になり得る。その核を正しく言語化することで、企業の方針を明確にすることができるからだ。
「ある上場企業では、採用面接に臨むほぼ全員が経営者のnoteを読んで来るため、採用の質が上がったそうです。また、グローバル展開しているスタートアップの場合、経営者の考えをまとめてLinkedInに公開したところ、欧米の大物経営者やシンガポールのVCの目に留まり、事業展開がスムーズになったそうです。経営者の発信は、施策としては非常にシンプルですが、その波及効果は計り知れません」(竹村)
「情報発信しているのに成果が上がらない!」と嘆く担当者は多いだろう。そのような場合は、もしかすると自社の言語化を行わないまま、どこかから拾ってきたような情報でコンテンツの制作および発信を行なっているのかもしれない。