IoT家電のユーザー像を探る
総務省「令和5年版情報通信白書」によると、世界のコンシューマ向けIoTデバイス数は、2018年41.1億台、2022年の台数は90.8億台、さらに2025年は139.9億台と予測され、年平均15.5%の成長率が見込まれています。
実際に、消費者の生活の中にも、「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーをはじめ、ロボット掃除機やスマートロックなどのスマート家電系から、炊飯器や冷蔵庫などの従来の白物家電、ガスコンロ、湯沸かし器にまでインターネットがつながるようになりました。
これら商品の登場や需要の増加は、コロナ禍以降の在宅時間の増加や衛生意識の高まり、また、エネルギー価格の上昇による消費エネルギーの可視化などが寄与していると考えられます。
そこで今回、実際にIoT家電を利用するユーザーの利用動向をアプリのログデータ「A-cube」から分析するとともに、インターネット調査結果と紐づけて、スマート家電ユーザーのプロファイルを明らかにしていきます。
様々なIoTアプリが存在しますが、今回は比較的普及が進んでいるスマートスピーカー、スマート家電、リモコンアプリ、白物家電の4つのカテゴリについて利用動向を分析していきます。具体的には以下のようなアプリです。
煩雑なるIoTアプリマーケット
IoTアプリ市場は多岐にわたり、時折複雑さをともないます。一般的に、コンシューマ向けのIoT製品と言えば、スマートスピーカーやスマートリモコン、スマートライト、スマートロックなど、IoTの背景で生まれたデバイスが思い浮かびやすいでしょう。
しかし、近年では従来のコンシューマ家電も市場への参入が増加しており、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電、炊飯器、オーブンレンジなどのキッチン家電、テレビ、レコーダーなどのAV機器も幅広く展開されています。
前者はプレイヤーが多数おり、規模も様々です。たとえばSwithBotのような自社製品を開発・販売しているメーカーの場合、スマートライトとスマートロックの両方を利用してもアプリは統一されます。しかし、アプリ開発を行っていないメーカーは、サードパーティーのアプリを指定することが一般的で、異なる製品ごとに異なるアプリが指定されることがあります。結果、スマートデバイスの数が増えると、アプリも知らぬ間に増えてしまいます。
後者は、従来からの大手家電メーカーが主流です。それぞれのブランドによって、当然ながらアプリも異なります。また、これらのデバイスを一つのアプリで統一してコントロールするためには、スマートスピーカーまたは一部のスマートリモコンが必要となります。その結果、IoT家電の数が増えると、それにともなってアプリの数も増えていく状況となります。