顧客理解は、マクロとミクロの両視点から
マーケティング活動にあたり、顧客の理解を深めることが重要だが、具体的な手だてや手ごたえに迷う企業も少なくない。その原因には「間違った顧客理解が多くある」と話したのはノウンズ代表の田中氏だ。
今回は、化粧品ブランド「イプサ」の倉本氏とともに、同社の事例から顧客理解とデータの読み解き方について解説した。
顧客理解と分析に重要な点として、倉本氏は「マクロとミクロの両視点からの分析が極めて重要」だとを強調。マーケターやブランド担当者は日々新たな課題に直面しているが、その中で効果的な施策を効率的に展開すること求められる。その過程で、「大事な視点が見落とされがちだ」と話した。
また同じデータでも、視点を変えると次のアクションが変わる。たとえば直近半年のリピート率が30%前後で推移しているため、その期間で見ると、30%を維持するか超えていきたいとなる。しかし、1年前までさかのぼると40%で推移していた場合、リピート率が大きく下落した要因を探る必要がある。このように同じデータでも、分析のタイミングや視点によって得られる洞察は大きく異なる。だからこそ顧客理解と分析ではマクロとミクロの両方の視点から物事を考えることが重要なのだ。
倉本氏は「マクロな視点での分析は非常に難しい」と語る。データは主に売上に関する考察に集中しがちで、日々の課題への対応に追われ、長期的な視野での分析が疎かになりがちだ。しかもマクロ視点での網羅的な分析には時間と費用がかかる。
イプサでも売上、顧客イメージ調査、パネルなど様々なデータ分析を行ったうえで、ノウンズのような外部データも積極的に取り入れている。外部データを利用することの意義として、倉本氏は「購入前の顧客の思考や考えを理解できること」だと述べた。
自社と外部のデータを組み合わせ、顧客の状態を知る
世代別の価値観や競合情報など、幅広いデータを見られるのも外部データの大きな利点だ。競合分析やトレンドワードの設定などを行う際にも、過去の蓄積データがないと困難を極めるが、ノウンズのデータサービスを活用することで、時間と費用を節約しながら、迅速な意思決定に役立てられる。
イプサでは、顧客構造のヘルシーチェックを定期的に行い、大きな変化や継続的な傾向を分析している。ノウンズのデータを利用して、購入意向から実際の購入への転換率における問題点を俯瞰し、自社の課題を把握している。たとえば、年代別の愛用者と購入率のデータを時系列で分析することで、特定の年代でマーケットの変化や競合の登場など外部環境の変動に対する洞察が得られる。
さらに倉本氏は、消費者データを分析するソリューション「Knowns Biz」の分析が社内で好評を得ている点について、視覚的に整理されているためマーケティングの初心者でも容易に理解できることが挙げられるとした。
「仮説を立てて検証し、PDCAサイクルを回していくプロセスが重要です。経験の浅い人もこのプロセスに参加しやすくすることができており、チームの中でも非常に好評です」(倉本氏)