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MarkeZine Day 2025 Retail

“マツキヨPBの立役者”乙幡氏が紐解く 商品ブランド設計術

「実は、明確な競合は決まっていません」チョコパイの独自性を確立させるロッテの“情緒的価値”戦略

独自の価値で顧客にとっての“唯一無二の商品”に

乙幡:チョコパイには多くのライバルもいると思いますが、それらとの差別化はどのように行っていますか。

吉見:実は、チョコパイの競合は時代によって変化しています。時代によって様々な競合が出てきますが、お客様の嗜好性の変化、そのタイミングでお客様が抱える課題・ニーズを抽出し、チョコパイだから出来ることを提供しています。

 こうした活動をしてきたことで、単にお腹を満たすという機能的な部分だけではなく、チョコパイを食べることによるご褒美感や、ちょっとした幸福感がお客様にとって唯一無二の価値であると再認識することができました。

乙幡:価格での訴求を行うPBに対して、ナショナルブランド(NB)としての道は、価格競争ではなく、独自の価値の訴求が重要であることがわかりますね。

チョコパイをコミュニケーション促進のツールに 注力する情緒的価値の提供

乙幡:既存のファンを維持しながら、新たなファンを獲得するためには何か特別な活動を行っているのでしょうか。

吉見:ロッテのチョコパイならではの「驚き」や「わくわく感」といった情緒的価値の提供にも注力しています。具体例としては、2024年2月に実施した銀座コージーコーナーとのコラボ「ケーキになったチョコパイ」が挙げられます。同コラボでは、ホールケーキ型チョコパイを銀座コージーコーナーで発売しました。同商品はチョコパイの起源である「ケーキをより手軽に」という考えのもと、贈答品やSNSの共有、バレンタインやパーティー用として企画しました。

銀座コージーコーナーとコラボした「ケーキになったチョコパイ(4号)」

吉見:こういった施策の効果もあり、リニューアル後は大きく売上が伸長しています。新しい挑戦を含め、継続した施策が功を奏し、SNSなどでの反響は非常に大きかったです。

乙幡:最後に、今後チョコパイは世の中にどのような価値を提供していきたいと考えていますか?

吉見:常に家にあるものとして、なくてはならない存在にしていきたいです。チョコパイが家族や近隣の方々とのコミュニケーションを促す存在になることを願っています。そのためにも、私たちのブランドパーパスをお客様に深く体感していただけるような取り組みを続けていきたいです。

乙幡:チョコパイの長年の成功は、変化に適応し続ける柔軟性と明確なブランドパーパス、そして常に顧客に新鮮な体験を提供することへのコミットメントによるものだったことがわかりました。これからも、驚きやわくわく感を与えてくれる革新的な商品作りを期待しています。

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この記事の著者

乙幡 満男(オトハタ ミツオ)

株式会社ブランドテーラー代表取締役
 

 大学卒業後、メーカーにて商品開発を担当。数多くのヒット商品を世に出し、特許も取得。米国クレアモント大学院大学ドラッカースクール卒業(MBA)ののち、米系コンサルティング会社で、イオンのPBのブランディングに従事。2014年マツモトキヨシに入社。同社のPB「matsu...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45440

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