ブランデットエンターテイメントで宣伝効果を生み出す
二つ目の狙いが、登壇した会社・人物の価値の醸成です。たとえば、Climbersのステージに著名人たちと並んである企業の社長が登壇したとします。すると、元々は著名人目当てでイベントに来場した方が何気なく聴講したある企業のプレゼンを聞き、「企業やサービスの態度に共感する」といった流れを生むことができます。
このように、「セールスや広告を受けて知った企業」ではなく、「有名人たちの中で、志ある経営者・企業を偶然見つける」設計にすることで、来場者から共感・関心を得ることができます。すなわちクライアントに対して「ブランデッド・エンターテイメント」だからこその自社のファンづくりという宣伝価値を感じてもらえていると言えるのです。また、著名人を起用する別の理由として、そこが「ブルーオーシャンである」ことが挙げられます。
Climbersに参加する人のカスタマージャーニーとは?
——「著名人の起用がブルーオーシャン」とは、どのような意味でしょうか?
そもそも一年を通して様々な企業が多様なイベントを行っている中、日本のビジネスパーソン約6,000万人のうちイベントに参加される人々の顔ぶれは非常に限られていると考えています。感覚的にですが、その割合はオンラインでの参加が普通になった今でも1割に満たないのではないでしょうか。つまりイベントに来られる人は頻繁に参加するが、来ない方はまったくというほど参加しないですよね。
つまり、ビジネスイベントのうち、「普段から来られる人」を取り合うような形式はレッドオーシャンです。だとすると、「来ない人」にイベントの意義を理解してもらうことが重要で、Climbersにだけは参加するような人のリードが得られる設計こそがブルーオーシャンとなり得るのではないでしょうか。そのアプローチの一つとして著名人を起用することで、イベントに対して今まで興味を持ってこなかったグループの人たちに「一度行ってみようかな」と思っていただけるのではと考えています。

——具体的に、Climbersに来場する方のカスタマージャーニーはどのようなものを想定していますか?
現在、私たちが描いているカスタマージャーニーでは、展示会やセミナーには見向きもしない方々を中心に、著名人が登壇するのを知ってClimbersは参加してみようとなる、ここまでが第一段階です。その後、第二段階として「Climbersで自分の業務内容と似たようなDX課題で壁を乗り越えたという企業の担当者のプレゼンがあったな」と想起し、その人が使ったサービスをネットで検索。そして、その会社のサービスサイトでサービス理解度を深め、資料請求という流れが第三段階です。このようにClimbersは普通のイベントとは“層と量が異なる”という観点での新しい認知・関心の獲得方法として注目されています。
このジャーニーは、商談や受注に直接つながっているかの証明は難しいです。しかし、クライアント企業が開催後に実施した参加者へのインタビューでは、「Climbersで御社を見たので知っています」と言われるなど好意的に会話が弾むとのフィードバックも多数いただいています。
このことから、Climbersに登壇することで強烈なファーストインプレッションを残しつつ導入に興味を持つ優良リードの発掘には一定の効果を生み出せていると言えるでしょう