「乗り越える。」をテーマに、一人でも多くのビジネスパーソンを“前向き”に
——Sansanでは、2020年から「乗り越える。」をテーマにビジネスカンファレンス「Climbers」を開催しています。同イベントの概要とターゲット層を教えてください。
Climbersは、「日本のビジネスパーソンを元気にしたい」という思いからSansan、テレビ東京、幻冬舎の3社で立ち上げた大型ビジネスカンファレンスです。
様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーをお呼びした講演やディスカッションができる交流イベントなど、参加者と出展者、参加者同士が交流できるプログラムを複数設計しています。
当イベントのコアターゲットは“人や新しい知識から刺激を受け、自らを成長させたい人”です。具体的には、ビジネス書籍を日頃から購入して知見を集めていたり、オンラインサロンに加入して情報を収集したりしているようなラーナビリティが高いビジネスパーソンの方々を指しています。こういった成長意識の高い層は会社組織でリーダー的な役割を担っている方々が非常に多いです。そんな彼らを一ヵ所に集めることで、刺激を与え合える新しい学習型イベントが作れると考えたのがイベントを開催したきっかけでした。
今では、「変わりたいと思っているが行動を起こせていない」や「やり方がわからない」といったいわば“成長予備軍”の方々にまで参加者層は広がり、1回で数万人のビジネスパーソンが動く大規模イベントとなりました。個人の成長に資する恒例イベントへと昇華できてきたことはかけがえのない喜びです。
大量の集客により他のビジネスイベントと差別化
——一般的なビジネスイベントでは、リード情報の質を上げるべく来場者層や目的を絞ることが多いと思います。一方で、Climbersではターゲットを広めに設定しており、登壇者にも様々な分野の著名人を招聘していますが、これにはどのような意図があるのでしょうか?
確かに、一般的にBtoBのイベントを企画する時には、セグメントを狭く分けた上で「ターゲット層の価値」と「リード獲得単価」の相関性で効率の良いスキームを考えることがほとんどだと思います。現に当部で主催するイベントの大半もターゲティング型で組み上げているものですので、そういった常識から考えるとClimbersの姿が不思議に捉えられるのは当然でしょう。それにも関わらず著名人を起用し、今までにないアングルからクライアントにリード獲得や受注などのビジネスチャンスを提供するスタイルに込めた意図は二つあります。
一つ目は「量が質を凌駕する」という原理の可能性を確かめたかったからです。コロナ禍以降オンラインイベントが誰にでも創れるようになったことで良くも悪くもイベントが過剰供給となりました。そんなイベント市場の中で、当社としては「どこからでも誰でも参加できる」というオンラインイベントが持つメリットを最大化した巨大なビジネスカンファレンスを仕掛けようと考えました。
しかし、玉石混合なオンラインイベント群と差別化をし、多くの人に参加してもらうには、他にはないコンテンツと体験の質を創造する必要がありました。それに加えて、コロナ禍を通して変化した働き方や考え方の考慮が求められるようになっていました。コロナ禍以降の世界では、たとえ企業に勤めていても“個人は個人である”という考え方が重要になって来ています。これは、ビジネスイベントでも同様で、個人としての参加ベネフィットを高めるという観点が、未来のイベント産業や主催者に求められます。
そこでわかりやすい個人の動機をフックする仕掛けとして、誰もが認知する第一線のアスリートやレジェンドによる人生の特別講義を行ってもらうことにしました。彼らが「壁を乗り越える」ために行ってきたことを熱意とともに語ってもらうことで、一人ひとりにきちんと届くイベントになるだろうと考えたためです。そして、これにより大量の集客を実現するという方針を打ち出しました。