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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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BtoBマーケティングの打ち手を再考する

狙うのは“ビジネスイベントに来ない層” Sansanが見出したブルーオーシャンなビジネスイベントの形

体験作りにこだわらないオンラインイベントは“1to1面談”と変わらない

——今でこそリアルイベントが戻ってきたと言えると思いますが、コロナ禍ではオンラインイベントが活況となり差別化が難しくなりました。イベントの設計をされる際にはどのような工夫をなされましたか?

 私は、オンラインイベントの難しい部分は、イベントのようでイベントでなくなってしまう点だと考えています。

 というのも、オンラインイベントでは、各自が別の場所からイベントを画面越しに視聴する形になるので、発信側と視聴側の1対1の拡張にすぎず、参加者同士の集団心理が働かないですし、高揚感も生まれません。つまり、1,000人がイベントに参加しようとも、たった10人が参加しようとも、参加者にとっては本質的には1対1のオンライン面談と変わりないのです。

 Climbersでは、リアルタイム性のある体験作りにこだわることで、イベントはイベントらしく人々の集い・出会いを演出したいと考えています。そのため、自社で配信システムを構築し、集団で参加している感を出すことに注力しています。

 その一例として拍手スタンプ機能の実装が挙げられます。拍手スタンプを参加者全員に同時に押してもらうことで、スタンプが大量に画面上に流れ、「数千人の人が一緒に見ている」ことを直感的に感じてもらえます。また、質問をその場で受け付け、オンライン上でもインタラクティブなやり取りができる設計にもしています。著名人が質問者の名前を読み上げて回答すれば取り上げられた側は嬉しいですし、他の人がどんな質問をしているのか気になるようになります。こうすることで、オンラインでも“1対1”ではなく“1対数千”の巨大なイベントを構築できます

 ここまで、体験設計をしっかりと行うと、「ただYouTubeで動画コンテンツを見た」のではなく、「Climbersのイベントに参加した」という強い印象を残すことができます。そうなると、口コミやSNSでのシェアなどでより多くの方に広がっていくことにもつながるでしょう。

 また、イベントを成功させる上では、“いかに熱量のあるイベントを作れるか”の追究を忘れてはいけないと考えています。特にコロナの時期では「オフラインはできないから、仕方なくオンラインでイベントをやる」といった発想を持っている主催者が多かったです。しかし、このような「リアルの焼き直しのイベントをオンラインで開催する」発想では決してオンラインイベントの真の価値を生むことはできません

 オンラインで行うからにはオンラインならではの価値を突き詰めて設計を行うべきです。この部分を意識してオンラインの強みを活かした独自の体験を構築することで、多くの人から支持されるイベントを作れるのではないでしょうか。

オンラインイベントではオンラインならではの価値の追求を

——最後に、今後の展望をお聞かせください。

 私たちは今、東京ビッグサイトや大阪や福岡、名古屋などオンサイトでリアルイベントを主催する動きを加速しています。それらの来場体験として、Eightによる入場やタッチ名刺交換といったイベントDXに加え、今後は参加者やスポンサーが会場で会いたい人・企業を勧める独自のアルゴリズムを実装した「出会いのリコメンデーションエンジン」をお届けして、イベントでのビジネスチャンスづくりの生産性を高めていきたいと思っています。

 さらにはリアルイベントだけにこだわらず、オンラインイベントの価値だけを真に追求したイベントも同時に開催していきたいです。今後も「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションのもと、唯一無二のイベントを創造していきたいと考えています。

 また個人的には、イベントに興味がない方々にも、「イベントって良いね」と再認識してもらい、マーケットを広げたいと思っています。そのためには、当社がイベントの裾野を広げるだけでなく、競合他社も含めてイベントの体験設計をより突き詰める必要があると考えています。他社と連携したりイベントの良さを様々な場所で語ったりするなど、イベント参加者を増やす取り組みも行っていきたいですね。

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/23 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45755

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