SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第104号(2024年8月号)
特集「社会価値創出につながる事業推進の在り方とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

現代の消費を紐解くキーワード:リキッド消費/トキ消費/応援消費/界隈消費/消費の好循環/パルス型消費

 現代の「消費」を様々な角度から紐解くキーワードとして、「リキッド消費」「トキ消費」「応援消費」「界隈消費」「消費の好循環」「パルス型消費」の6つを紹介。消費の背景や消費者の心の内を様々な角度から深掘りする際に、ご参考ください。

※本記事は、2024年6月刊行の『MarkeZine』(雑誌)102号に掲載したものです

1.消費スタイルの変化を大局で見る「リキッド消費」

流動が進む現代の消費に関わる傾向

 リキッド消費(liquid consumption)は、Bardhi and Eckhardt(2017)により提示された概念であり、「短命ではかなく(ephemeral)、アクセスベースで(access based)、脱物質的な消費(dematerialized)」と定義されます。

 Bardhi and Eckhardt(2017)は、消費に関わる傾向として次の3つを指摘しました。

  1. 短命性:その時その時で、あるいはその場その場で、価値を感じるものが次々と変わり、それゆえ製品やサービスの価値がはかなく、短命なものとなる。
  2. アクセスベース:何かを所有することにこだわらず、レンタルやシェアリングによって、その価値にアクセスできれば十分だと考える。
  3. 脱物質的:モノにこだわらず、むしろ物質よりも経験に価値を感じるようになる。

 また、リキッド消費では、消費から得られる使用価値に重きが置かれることになり、実用的なベネフィットのための消費に価値が見出されるようになることと、(より多くの物を所有するという意味ではなく)より多くの財を消費していくという意味での物質主義的傾向が高いことも指摘されています。

 なお、リキッド消費を理解する上で重要なのは、これらが「3年前と比べて~」といったレンジの話ではないということ。リキッド消費は20年、30年というレンジで社会の変化を捉えたときに見られる大きな流れであり、トレンディな消費潮流であるという認識は間違っています。

誤解も多いリキッド消費の概念

 リキッド消費は、従来型のソリッド消費と対を成す概念で、リキッド~ソリッドというスペクトラム(連続体)の両極として概念化されます。これは、世の中のすべてがリキッド消費化するのではなく、伝統的なソリッド消費に加えてリキッド消費という新しいタイプの消費が台頭してきた、ということを意味しています。

 つまり、市場全体がリキッド消費化するわけではありませんし、すべての人がリキッド消費者になるわけでもありません。リキッド消費については、「以前とは異なるスタイルの消費が目立つようになってきた」と考えるべきであり、「これまでとまったく違う市場が生まれた」「消費のスタイルが180度変わった」というようなセンセーショナルな表現は適切ではないのです。

 事業戦略においても、すべての企業・ブランドがリキッド消費に対応しなければならないわけではありません。「自社ブランドがリキッド消費に対応した戦略を採用する必要があるか?」を冷静に検討することが第一歩となるでしょう。

 

 

青山学院大学経営学部長・
経営学研究科長教授 久保田進彦氏

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
2.今、ここに存在することに価値を見出す「トキ消費」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/07/16 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45861

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング