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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

「丸亀製麺が食べたい」を喚起するために何をしている?トリドールのコミュニケーションとチャレンジ

 街中やフードコートに様々な飲食店が並ぶ今、生活者の選択肢は非常に豊富だ。この状況で、自社ブランドを選んでもらうためには、生活者と接点を持ち継続的にコミュニケーションを行っていく必要があるだろう。2024年3月期に過去最高売上収益を達成した丸亀製麺は、あらゆるチャネルを駆使し、顧客とコミュニケーションを取り続けている。同社の方針と具体的な取り組みをうかがった。

※本記事は、2024年6月刊行の『MarkeZine』(雑誌)102号に掲載したものです

本質的なインサイトは変わらない

──消費行動が変化していると言われていますが、御社ではどのように現状を捉えていますか?

 タイパやコスパを意識する傾向は強くなっていると捉えています。一方で、本質的な価値やインサイトはあまり変わらないとも思っています。食の場合なら、おいしいものを提供するという本質は変わりません。

 当社が掲げるスローガン「食の感動で、この星を満たせ。」のとおり、人の手のぬくもりや、ぬくもりのある食事、手づくり・できたてのおいしさが人の心を動かすことは、万国共通の普遍的なことだと思います。

 この食事の本質的な価値を高め、商品に触れた際はもちろん、来店時や従業員と接した瞬間に感動する場面を作り、選ばれる確率を高めていきたいと考えています。

株式会社トリドールホールディングス KANDOコミュニケーション本部 マーケティング部マーケティングデザイン課課長兼株式会社丸亀製麺 マーケティング本部コミュニケーションデザイン部次長 小西香織(こにし・かおり)氏 2010年、日本KFCホールディングス入社。ピザハット事業部で営業・店長を経験しマーケティング部へ。日本ピザハットでもSNSやコンテンツ企画に従事。2019年トリドールホールディングス入社。丸亀製麺のSNS・デジタル業務を経て、現在はTVCMをはじめ商品プロモーション全体を担当。

株式会社トリドールホールディングス KANDOコミュニケーション本部
マーケティング部マーケティングデザイン課課長 兼 株式会社丸亀製麺 マーケティング本部
コミュニケーションデザイン部次長 小西香織(こにし・かおり)氏

2010年、日本KFCホールディングス入社。ピザハット事業部で営業・店長を経験しマーケティング部へ。日本ピザハットでもSNSやコンテンツ企画に従事。2019年トリドールホールディングス入社。丸亀製麺のSNS・デジタル業務を経て、現在はTVCMをはじめ商品プロモーション全体を担当。

普遍的な「うどんのおいしさ」を様々なチャネルで伝える

──「丸亀製麺が食べたい」という気持ちを想起させるコミュニケーションの基本方針や戦略を詳しく教えてください。

 「丸亀製麺のうどんは粉からつくった、打ち立て茹でたて。もちもちしてコシがある」という、うどんそのもののおいしさを全チャネルで伝えることが基本方針です。

 現在、様々な業界で省人化が進んでいます。その中で、丸亀製麺では毎日お店で職人たちが粉からうどんをつくっています。世の中から見ると私たちの取り組みは逆張りに映るかもしれませんが、「おいしいうどんを人の手でつくる」ことが当社にとっては王道です。コミュニケーションにおいても、変わらず伝え続けていきます。

 一方で、お客様が感じるニーズへの対応やチャレンジを行うことも方針の1つです。たとえば、2021年4月に販売を開始した「丸亀うどん弁当」は、コロナの影響が尾を引く時期に、店内での飲食にまだ抵抗があるお客様に向けて開発されたものでした。2023年に販売した「シェイクうどん」も同じくテイクアウト商品ですが、こちらはお持ち帰り体験をもっと楽しく・丸亀製麺に触れたことがない方も食べてみたくなる商品の開発というチャレンジでした。どちらの商品も、できたてのおいしさという丸亀製麺の提供価値は崩さずに新しいアプローチをとりました。

 また、マーケターとして大切なことは「食べたい」という衝動を作ることだと思います。おいしい商品をきちんとシズル感たっぷりにおいしそうに見せて、お客様に選ばれる確率を上げることが私たちの使命だと考えています。

──食べたいという衝動を作る場合はタイミングも重要かと思います。何か意識していることはありますか?

 ソーシャルメディアやデジタル広告は時間帯や地域、さらにお客様のターゲティングができるので、お客様に適した形でコミュニケーションができるように意識しています。一方でテレビCMの場合は、細かなターゲティングはできないものの、販売前の1~2日前から予告広告を打ち、商品の発売当日からしっかり売上の山がつくれるように意識しています。その大きな流れは、デジタルやソーシャル、全メディアにて意識して実施しています。

 全体的に言えることは、商品販売のタイミングと意欲や興味関心の山を合わせることが大切だということです。この山が高いほど、全期間を通しての売上が伸びます。そのために、テレビCM・SNS・デジタル・PRなどで最初の盛り上げを作り、そこから話題を途切れさせず、作った山の傾斜が落ちないように各キャンペーンに取り組んでいます。

 私はソーシャルをメインに担当していますが、特定の商品を盛り上げるキャンペーンの場合は、どのようなファンの方が召し上がっているのかなどを分析してキャンペーンを設計します。お客様が情報を拡散してくださった先に新規のお客様がいらっしゃいます。ファンであるお客様が楽しみつつ、情報が拡散された先にいるお客様が興味を持ってくださる点を意識したコミュニケーションに軸足を置いていますね。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45744

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