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ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

問われるのは“バランス感覚” コト消費時代のメガトレンド「応援消費」に企業はどう向き合うべきか

 消費することで企業やブランドを応援する「応援消費」が世界的に拡大している。応援消費を活用したマーケティング施策は成功すればブランディング効果や一大ムーブメントが見込める一方で、コミュニケーションに失敗すれば炎上リスクもある。企業が取り入れるにはどんなポイントや注意点があるのだろうか。『応援消費-社会を動かす力』(岩波新書)を執筆した東京都立大学 経済経営学部 教授の水越康介氏に、企業が今知っておくべき応援消費の考え方について、基礎から伺った。

応援消費は「他者のため」にする消費行動

──まず、応援消費とは何か、どのように定義づけられるものなのか、教えてください。

水越:消費行動を通じて、困っている企業や人を応援する行動のことを「応援消費」と呼んでいます。たとえば、東日本大震災や新型コロナウイルスで困っている飲食店・生産者に対して、旅行に行ったり、現地で食事をしたりといった応援消費が代表的です。私が応援消費に関する書籍を執筆し始めたころは、このような被災者支援の文脈がほとんどだったのですが、最近では「推し活経済圏」の拡大によって応援消費の形も多様化しています。

東京都立大学 経済経営学部 教授 水越康介氏

──被災地支援のような応援消費と推し活では、消費者の感情は異なるように思います。推し活も応援消費のひとつとして捉えられるのでしょうか。

水越:はい、倫理性の差はありますが、同じようなものと考えています。通常、「自分のため」に行う消費行動ですが、「他者のため」に行動するウェイトが大きい場合は、総じて応援消費と捉えることができます。「自分のためだけの消費か否か」という消費者心理の部分で、応援消費は定義することができるでしょう。

現代は「自分のため」にモノを買い切ってしまった時代

──昨今、応援消費の傾向が強まる背景には、どのような理由があると考えられるでしょうか。

水越:大前提として、消費者はモノがあふれるこの時代に「自分のため」のモノを買い切ってしまったのだと思います。モノではもう満たされなくなり、買うための理由を探すなかで、応援消費やコト消費などに意義を見出していったのではないでしょうか。

 寄付のような向社会的行動に対する心理的ハードルが下がってきていることも理由のひとつでしょう。実際に日本では東日本大震災以降、寄付の平均金額が2倍以上に増加しているんです。日本人は寄付したことをあまり人に言わない傾向があるものの、感覚や意識は変化してきているのかもしれません。その点では、応援消費はあくまで「買い物」であるぶん、寄付よりも理由付けがしやすく、積極性が生まれやすい特徴があると思います。

──企業側が応援消費に期待したマーケティングを仕掛けることも増えてきているのでしょうか。

水越:はい。社会貢献や環境配慮を打ち出す「ソーシャルマーケティング」は長期的なトレンドとして続いており、その一環として応援消費の機会は増加しています。直近ではキリンの「晴れ風」が、桜や花火などの保全活動のために「寄付できるビール」として話題になりました。自分が楽しむだけではない、だれかのため、何かのための応援消費の一例と言えるでしょう。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45552

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