ASC活用で成果を出す広告主の特徴とは
ソウルドアウトの支援により、マルコがここまで成果を出せた理由をFacebook Japanの西川氏は次のように分析する。
「ソウルドアウト様もマルコ様も機動力の高さが特徴的です。効果を出す動画撮影のために全国各地の店舗を回ったとお話しされていましたが、クリエイティブの重要性を理解しても、実際に行動に移せる広告主様はそう多くありません。そもそも縦型動画の活用となると、静止画を動画化するだけで十分だと考える企業も少なくないのが現状です。そうした中で、両社は縦型動画にしっかりとコミットし、分析を重ねられたことに成果を出せた大きな理由があると考えます。また、“ASCに任せて終わりにしない分析努力”も功を奏していると言えるでしょう」(Facebook Japan 西川氏)
加えて、両社が早期からASC攻略に取り組んでいたことも大きな意味を持つという。すでに「ASCを始めてみればよい」というスタンスでは優位性を得られない段階にあり、特に代理店においては実績の差が開いてきているのが現状だ。
シグナルやデータの欠損をいかになくせるかという点も重要であり、コンバージョンAPIなどを用いて複合的かつ総合的に潰し込んでいくことで、ASCによる効果が最大化される。ソウルドアウトのように初期段階からMeta広告のソリューションを研究している代理店は、すでにその潰し込みがかなり進んでいるそうだ。
「ASCはプロダクトの性能が高いため、こちらの努力次第でより多くの挑戦ができます。学習データを底上げすべく、コンバージョンAPIを導入したり、様々な地点でデータを取得できるようにイベントを設計したりすることで、クライアント企業に成果を還元できると感じています」(ソウルドアウト 大長氏)
導入するだけでは勝てない。攻略後も分析を重ね、知見を顧客に還元していく
ソウルドアウトの石原氏は「大きな成果を出せたといえど、マルコ様の取り組みにはまだ改善の余地がある」と言及。たとえば、CV数最大化を自動的に目指すASCの特性上、どうしても実績のある首都圏に配信比率が寄ってしまう傾向があるという。日本各地にあるマルコ店舗におけるCV数獲得を目指すべく、今後はBid Multipliers(一部β版)と掛け合わせて、エリア別の最適化を進めることも考えているそうだ。
※Bid Multipliers:ディベロッパー向けに提供しているMetaのマーケティングAPI。年齢層や配信エリア、配信面などを細かい単位で入札をコントロールできる。
ASCでは、従来のターゲットセグメントに依らないオーディエンスにアプローチできるというメリットがあるものの、予算が限られている広告主の場合、すべてを試せるわけではない。そこでBid Multipliersの活用が必要になってくる。ASCで配信の最適化をかけつつ、Bid Multipliersを活用してより重要度の高いオーディエンスに配信を寄せることで、より効率の良い広告運用が実現する。ASC×Bid Multipliersの活用に関しては、広告費用や人的リソースを十分に確保できないSMBこそ、大きな効果を期待できると言える。
広告自動最適化が進む今後、Meta広告におけるASC攻略は必須となる。今回のソウルドアウトとマルコの事例からわかることは、ターゲティングの部分をAIにほとんど任せることができるようになると、変数であるクリエイティブの重要性が一層増していくということだ。広告主はよりフォーカスして取り組む必要があるだろう。
成果を出せるか否かは、業種や予算規模に関係なく、いかに新しいプロダクトを積極的に取り入れ、知見を重ねていけるかにかかっている。すでに乗り遅れたと感じる広告主は、知見豊富な広告代理店を活用するのも一つの方法と言える。
ソウルドアウトは「SMBならではの成功法をマルコ様をはじめ、皆様と常に模索していきたい」とし、今後の目標を次のように語った。
「今後も新しいプロダクトがあれば積極的に挑戦して検証していきたいですし、縦型動画に関しても、もっと導入率を上げていきたいです。動画のクオリティやユーザーに刺さるポイントなども検証していきたいと考えています」