1st Party Dataの活用方法、見当がついているか?
Googleのプライバシーサンドボックスのスケジュールが再度延期され、2025年初頭から段階的に3rd party cookieを廃止していく(参照)。これに関連して、1st Party Dataの重要性が叫ばれて久しいが、実際、どのように活用していくのか、見当がついているだろうか?
たとえば、広告主企業は1st Party Dataを具体的にどのように使うのか。あるいは、媒体社は、1st Party Dataを蓄積すれば、それで儲かるのか。この記事では、3rd party cookie廃止の影響を再確認し、勃興しつつある新たなビジネスモデル、「1st Party Data プラットフォーマー」の可能性に触れていく。
まず、3rd party cookieの段階的廃止でGDN(Googleディスプレイネットワーク)の広告効果が低下する。Google Chrome以外のブラウザでは3rd party cookie廃止が一般化しているため、GDNの質の低下はすでに始まっている。たとえば、元Google社員の岡田吉弘氏(現・LIFT合同会社代表)は先日、「GDNは提案しない」とブログで書いている。これは、GDNに限った話ではなく、そのほかのアドネットワーク・DSPにもすでに影響が出ている。
図表1はタテ軸に「Network Party」「Data Party」を、ヨコ軸に「Data Quality」を置いている。「Network Party」は、広告配信ネットワークが1st Partyか3rd Partyか、「Data Party」はデータが1st Party Dataか3rd Party Dataかを表す。
たとえば、YouTubeの場合、左上の象限だ。YouTubeはGoogleの1st Party Networkで、そこでは理論的に1st Partyと3rd Partyのデータを使って配信できる。GDNは左下の象限で、理論的に新聞社など他社媒体や個人ブログなど3rd Party Networkで配信され、かつ、1st Partyと3rd Partyデータを使って配信できる(GDNは厳密には1st Partyの配信先も含まれているはずだが、ここでは説明をわかりやすくするために3rd Party Networkとする)。
GDNの広告効果が低下する理由は単純で、現在の「1st Party+3rd Party Data」のセットが使えなくなるからだ。たとえば、あなたがChromeでGoogleアカウントにログインしてネットを使い、新聞社などGDN配信先のサイトを訪問しているとする。Googleアカウントにログインしているため、Googleの1st Party Dataを活用でき、かつ、3rd party cookieも活用できるため、GDN配信先での閲覧履歴なども加味して、あなたの趣味嗜好を分析し、広告を配信できる。
今後、これができなくなる。だから、ターゲティング精度の低下が予想される。図表1左下の象限の一番下には、カッコ書きで(1st Party Data)と入れている。これは、ユーザー同意取得の状況や技術にも依存するが、たとえば、今後もGoogleの検索履歴データなど1st Party Dataを使って配信できる可能性もある。ただ、いずれにしろ「1st Party+3rd Party Data」のセットは使えなくなる。