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ゲームアプリのユーザーを広告で増やせるか?バンダイナムコと業界キーマンが語る、広告出稿と評価の方法

 毎年多くのタイトルがリリースされる、ゲームアプリ業界。ユーザーに選ばれ続けるためにはコンテンツはもちろん、広告への投資も欠かせない。しかし実際、広告の費用対効果は見合っているのだろうか。2024年6月5日に開催された「GAME FUTURE SUMMIT 2024」には、全自動マーケティングプラットフォームを提供するUNICORN代表の山田翔氏、サイバーエージェントゲームパートナーズの家門真明氏、バンダイナムコエンターテインメントの田畑光介氏が登壇。「もしかしてユーザーを増やせていない? ユーザーを増やすために知っておきたい広告配信の仕方と評価の方法」と題するセッションで、ゲームアプリの広告配信にまつわる課題について赤裸々なトークが行われた。本稿ではその様子をレポートする。

課金ユーザーの情報源、1位は「公式ホームページ」

山田:ゲームアプリの未来をつくっていくために、ユーザーを増加させる広告配信は大事なテーマです。早速ですが、広告を配信して「ゲームアプリのユーザーを増やせた」実感はお持ちでしょうか? 家門さんは広告のコンサルティングをされているので、「増やせている」という立場だとは思うのですが。

家門:「やり方によっては増やせない」というのが正解です。ゲームのマーケティングは10年くらいの歴史を積み重ねてきますが、間違った歴史もあると思っています。正直、いまだに「これはこうやった方がよかったのかも」と思うことがたくさんあります。

サイバーエージェントゲームパートナーズ 家門 真明氏<br />インターネット広告の戦略設計を担当。そのノウハウを活かして、国内でゲーム事業を行っている企業に向けて、広告出稿のコンサルティングも行っている。
サイバーエージェントゲームパートナーズ 家門 真明氏
インターネット広告の戦略設計を担当。そのノウハウを活かして、国内でゲーム事業を行っている企業に向けて、広告出稿のコンサルティングも行っている。

家門:広告を考える上の情報として、「ファミ通ゲーム白書2024」のデータをお持ちしました。グラフは、ゲームに課金する人と課金しない人の、ゲームの情報源の違いを調べたものです。まず、課金する人としない人とでは、情報源が違います。

 課金する人の1位は公式ホームページ、2位はX(旧Twitter)、3位はYouTubeです。公式ホームページが1位というのは、意外だと思う人も多いのではないでしょうか。課金しない人ではクチコミが1位で、XやYouTubeの中にも広告は含まれているものの、バナー広告となると8位でした。課金する人にいたってはバナー広告がランク外なので、残念ながら広告の効果はいい状況ではないと言えます。

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山田:ユーザー目線では「広告はよく見るけれど、適切に届けられていないので、優先度が下がっている」状態ではないかと思います。事業会社側として、田畑さんの感想はいかがですか?

田畑:弊社でも、熱量の高い方たちのほうが、より公式ホームページやX公式アカウントの情報をきちんと見てくださっている印象なので、実感値に近いと感じます。

精緻に計測できない、オンライン広告の課題

山田:今のオンライン広告には、課題があります。オンライン広告は「きちんと計測できる」と思われがちですが、実は精緻に計測・評価をすることが非常に難しい状態です。

 UNICORN株式会社 代表取締役 山田 翔氏<br /> 2010年11月にアドウェイズの主力サービスであるスマートフォンアプリ向け広告配信サービス 「AppDriver」を立ち上げたほか、スマートフォンアプリ向け効果測定システム「PartyTrack」など新規サービスの立ち上げに貢献。現在は全自動マーケティングプラットフォームUNICORNの代表取締役とともに、親会社アドウェイズの代表取締役も担っている。
UNICORN株式会社 代表取締役 山田 翔氏
2010年11月にアドウェイズの主力サービスであるスマートフォンアプリ向け広告配信サービス 「AppDriver」を立ち上げたなど、新規サービスの立ち上げに貢献。現在は全自動マーケティングプラットフォームUNICORNの代表取締役とともに、親会社アドウェイズの代表取締役も担っている。

山田:広告配信をする場合、「配信した分、ユーザーを追加誘導できること」を期待します。しかし実際は、広告配信をしなくてもインストールしてくださった人(オーガニックユーザー)にも広告を見せることで、広告経由でインストールしたと計測されることが起こっているのではないかと考えています。

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本来オーガニックでインストールされるであろうユーザーも広告で流入・インストールされてしまっている状態(クリック/タップで拡大)

家門:実際に起こっていますね。僕が途中からお手伝いさせていただいた案件でも、多いものだと70%くらい広告経由とオーガニックのユーザーが重複していたものがありました。

山田:要因として「広告をクリックせず見せただけ(表示させただけ)」など、直接送客効果が低いコンバージョンもコンバージョンとして計測できてしまうことも少なくありません。場合よっては、このようなコンバージョンだけを集めてしまう配信になってしまうことも十分にあり得ます。

 こうした状況を変えるべく、家門さんと事例の検証をしました。具体的には、ASC(App Store Connect)では広告をクリックしてダウンロードしたもののみが計測されるので、広告の計測において通常使われるMMPでの計測との差分を見ることにしました。

家門:メニューBではMMPの計測で85件のコンバージョンがあるものが、ASCでは5件となっていて、結構衝撃でした。

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山田:広告を見た時にはクリックせず、後からインストールする場合もありますが、アプリの場合はそう多くはないでしょう。したがってアプリ広告は、直接送客効果の高いものを中心に配信するのがいいと思っています。田畑さんはいかがですか?

田畑:MMPの計測を元に運用なども検討しているのですが、比較的広告出稿でもユーザーをとれている実感値があったので、この結果は正直びっくりしました。

家門:こうした課題は、ゲーム業界にあるリセマラ(リセットマラソン:インストールとアンインストールを何度も繰り返すこと)があるからかもしれないと考えています。(MMPが提供する)SDKではリセマラを除外できるので、そこで計測するのが一番正しいという文化が他業界よりも強く根付いてしまったような気がします。

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新たな計測の指標を求める、バンダイナムコの取り組み

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:UNICORN株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/02 11:30 https://markezine.jp/article/detail/45996

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