伸び悩むサービスがアプリ化をきっかけに急成長を遂げるケースがある。食事管理アプリ「あすけん」はその一例だ。Webサービスを2007年に開始し、2013年のアプリ版リリースをきっかけに成長軌道に乗り、累計会員数は1,000万人を超えた(2024年3月時点)。立ち上げから同サービスをけん引する取締役の天辰次郎氏と、コンシューマー事業本部 本部長の福井千尋氏に、ユーザー目線を徹底したサービスコンセプトやアプリ開発、マネタイズ方法などについて詳しく伺った。
MAU116万人を誇る「あすけん」
──まずは、あすけんについてお教えください。
天辰:あすけんは、食事の画像やバーコードを読み取るだけで日々の食事記録ができ、食べた食事のカロリーや栄養素が一目でわかる食事管理アプリです。単なるカロリー計算ツールではなく、管理栄養士の知見を基に、食事内容に対するフィードバックや食生活のアドバイスをアプリで再現しています。
ITベンチャー、外資メーカー、コンサルティング会社での経験を経て、2007年に株式会社askenを設立。企画・要件定義・マーケティング・事業計画策定などを幅広く担当した。現在は主に経営戦略立案・アライアンス・海外展開・データサイエンスなどの分野を担当
福井:2024年6月時点でアプリのMAUは116万人、ユーザーの約7割を女性が占めています。ダウンロードいただくきっかけの多くがダイエットですが、「食生活の改善によって健康になる」と実感され、健康体重を維持するために長く使っている方も増えています。
人材ビジネス業界にて転職サイトの編集長、Webマガジンの立ち上げ編集長などを務めた後、クックパッド株式会社へ転職。2022年よりaskenへ参画し、食事管理アプリ「あすけん」のユーザー向け企画・コンテンツ制作・PR業務などのマーケティング領域全般の統括、および事業企画を担当
──どのような経緯でサービスを開発されたのでしょうか。
天辰:親会社のグリーンハウスに所属する管理栄養士のノウハウと、データサイエンスの組み合わせをひらめいたことが発端となっています。管理栄養士のリアルな栄養指導をオンライン上に再現することで、より多くの人の健康に寄与できるのではないかと考えました。このサービスコンセプトは、今も変わっていません。
2007年のサービスイン期は、ブラウザ用のWebサービスとして法人向けに展開しましたが、期待した成果には届きませんでした。その後、コンシューマー向けのサービスに軌道修正して今に至ります。
サービスが拡大した最初のきっかけは、食事記録によるダイエットの流行です。「ダイエットのために食事を記録し、カロリー計算をする」という概念が広まったことを受け、「カロリー計算」などのキーワードでリスティング広告を打ってみたところ、CPA14円という今では考えられない単価でユーザーを獲得することができました。
アプリ黎明期に時代のニーズを捉え、成長軌道に乗った
──2013年にアプリをリリースされたのはなぜですか?
天辰:「食事をすぐに撮影できるスマートフォンで使いたい」というユーザーの声に応えるためです。当時はアプリをサブスクリプションで販売できなかったため、売り切り500円でiOSアプリの販売を始めました。2013年はガラケーの時代からスマホの時代に移り変わるタイミングです。ガラケー向けのサービスに力を入れる競合が多かった中、アプリビジネスで先陣を切れたことが追い風になりました。
アプリリリース後は、すぐにアプリストアで上位にランクイン。その後、2014年にサブスクリプションでの販売が解禁されたこともあり、フリーミアムモデルに切り替えたことで会員数が増加、サブスクリプションにより収益も安定するようになりました。
天辰:さらに、注目のアプリとしてWeb記事やテレビで取り上げていただいたことで「露出が増える→会員数が増える→さらに露出が増える」という好循環が生まれました。その後、コロナ禍にともなう外出自粛からダイエットのニーズが高まり、2020年4月からの9ヵ月間で新規ユーザーが100万人も増加したのです。
福井:今でこそ画像解析は一般的ですが、当時は食事の写真を撮ればメニューが自動で識別される仕組みが魔法のように感じられる時代でした。
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落合 真彩(オチアイ マアヤ)
教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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