MAU116万人を誇る「あすけん」
──まずは、あすけんについてお教えください。
天辰:あすけんは、食事の画像やバーコードを読み取るだけで日々の食事記録ができ、食べた食事のカロリーや栄養素が一目でわかる食事管理アプリです。単なるカロリー計算ツールではなく、管理栄養士の知見を基に、食事内容に対するフィードバックや食生活のアドバイスをアプリで再現しています。
福井:2024年6月時点でアプリのMAUは116万人、ユーザーの約7割を女性が占めています。ダウンロードいただくきっかけの多くがダイエットですが、「食生活の改善によって健康になる」と実感され、健康体重を維持するために長く使っている方も増えています。
──どのような経緯でサービスを開発されたのでしょうか。
天辰:親会社のグリーンハウスに所属する管理栄養士のノウハウと、データサイエンスの組み合わせをひらめいたことが発端となっています。管理栄養士のリアルな栄養指導をオンライン上に再現することで、より多くの人の健康に寄与できるのではないかと考えました。このサービスコンセプトは、今も変わっていません。
2007年のサービスイン期は、ブラウザ用のWebサービスとして法人向けに展開しましたが、期待した成果には届きませんでした。その後、コンシューマー向けのサービスに軌道修正して今に至ります。
サービスが拡大した最初のきっかけは、食事記録によるダイエットの流行です。「ダイエットのために食事を記録し、カロリー計算をする」という概念が広まったことを受け、「カロリー計算」などのキーワードでリスティング広告を打ってみたところ、CPA14円という今では考えられない単価でユーザーを獲得することができました。
アプリ黎明期に時代のニーズを捉え、成長軌道に乗った
──2013年にアプリをリリースされたのはなぜですか?
天辰:「食事をすぐに撮影できるスマートフォンで使いたい」というユーザーの声に応えるためです。当時はアプリをサブスクリプションで販売できなかったため、売り切り500円でiOSアプリの販売を始めました。2013年はガラケーの時代からスマホの時代に移り変わるタイミングです。ガラケー向けのサービスに力を入れる競合が多かった中、アプリビジネスで先陣を切れたことが追い風になりました。
アプリリリース後は、すぐにアプリストアで上位にランクイン。その後、2014年にサブスクリプションでの販売が解禁されたこともあり、フリーミアムモデルに切り替えたことで会員数が増加、サブスクリプションにより収益も安定するようになりました。
天辰:さらに、注目のアプリとしてWeb記事やテレビで取り上げていただいたことで「露出が増える→会員数が増える→さらに露出が増える」という好循環が生まれました。その後、コロナ禍にともなう外出自粛からダイエットのニーズが高まり、2020年4月からの9ヵ月間で新規ユーザーが100万人も増加したのです。
福井:今でこそ画像解析は一般的ですが、当時は食事の写真を撮ればメニューが自動で識別される仕組みが魔法のように感じられる時代でした。