消費者が注視しているかを問う「アテンション」が重要に
川口:今日は「MFAとアテンションエコノミーから見る、デジタル広告の評価とクリエイティブ実例」というテーマで議論すべく、ネスレ日本の西崎さんと電通デジタルの根本さんをお招きしました。
まず調査データをもとに、広告における「アテンション」の重要性について議論します。ある調査では、消費者が1日にメディア消費に費やす時間は299分、そのうち広告に接触している時間が84分あると言われます。
しかし、この84分のうち、アテンションにつながっている時間は9分にとどまっています。
このアテンションが低くなっている要因の一つとなっているのが「MFA(Made-for-Advertising)」の増加です。MFAとは、コンテンツを読みに来ているユーザーのためではなく、広告のために作られたサイトを指します。MFAと分類されるサイトには広告枠が多数設置され、広告収益が最優先された結果ユーザーの体験は阻害されます。
企業からすると、MFAの増加でリーチ単価は安くなり、インプレッションは増加するため、一見メリットがあるように見えます。しかし、実際にはMFAの広告はアテンションが集まりにくく、成果につながりにくい問題につながっています。
このような背景から、今注目されているのが「アテンションエコノミー」です。信頼性や正確さに加えて、人の注目を集められるものかに経済的価値が移っていくことを指す言葉ですが、電通グループでは、このアテンションエコノミーに関する調査を行っているんですよね。
根本:電通グループでは、広告の評価指標としてアテンションに着目しており、グローバルでアテンションエコノミーに関する調査を継続的に実施しています。
根本:直近では、Teadsさんと共同で大規模消費者調査を行い、アテンションに影響を与える因子としてTime in View(視聴可能な表示時間)、User Choice(選択)、Creative(クリエイティブ)、Relevance(関連性)の4つを定義しました。
・Time in View:流し見されずに時間をかけて読まれる面に出る広告
・User Choice:能動的に読まれる記事の中にある広告
・Creative:目に留まる引っ掛かりを生むクリエイティブの広告
・Relevance:広告と配信面の関連性が高い広告
これら4つの要素があると効率よくアテンションを獲得でき、態度変容につながりやすいことが調査でわかりました。そしてこの4つの因子を兼ね備えたプラットフォームがTeadsです。
ファネル単位ではなく「循環」させることを前提にして設計
川口:続いて、ネスレ日本の西崎さんにお伺いします。様々なデジタルの評価指標に関して、どのようなお考えで設定されていますか。
西崎:弊社ではブランド・キャンペーンの内容によって指標の設定を変えています。基本的には「Consumer Experience Map」に則り、「消費者の体験に沿う形で」指標を設定します。
よくEncounter(出会い)、Consider(検討)、Purchase(購入)、Use(使用)というファネルで考えられることが多いと思いますが、弊社ではこれをファネルではなく「循環させる」ことに着目しております。
西崎:ブランディングキャンペーンの場合は特に、Encounter、Considerが中心になるため、基本的にはコミュニケーションターゲットに対してのReach & Frequencyの獲得と効率化に着目します。また、基準を満たさない広告投資キャンペーンは無駄であるという考え方で、選択と集中をしています。
現時点ではViewableとBrand Safetyが担保されたImpressionとView が重要だと思っており、またReceptivity(受容性)も重要視しております。消費者のモーメントをとらえ、その瞬間に見ている人にターゲティングできることが一番重要です。