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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2024 Kansai

改革にともなうオペレーションの不備、手探りのKPI設定……リコーとfreeeが語るマーケの失敗談

 往々にして、先人の成功譚よりも失敗談から学べることは多い。セールス中心の歴史が長く、経験者が少ないとされるBtoBマーケティング領域の場合、失敗談はなおさら貴重だ。MarkeZine Day 2024 Kansaiには、SaaS企業とメーカーそれぞれの立場で孤軍奮闘してきた二人のBtoBマーケターが登壇。「組織運営」と「施策実行」の2軸で自身の失敗談を赤裸々に語った。本稿ではセッションの内容をレポートする。

3名のBtoBマーケティング賢者たち

富家(EVeM):まずは今村さん、鎌田さんの自己紹介をお願いします。

今村(リコー):3社の製造業で商品企画や新規事業の立ち上げを経て、BtoBマーケターにキャリアチェンジをしました。

リコー グラフィックコミュニケーションズ グローバル販売戦略本部 今村綾子氏
リコー グラフィックコミュニケーションズ グローバル販売戦略本部 今村綾子氏

今村(リコー):マーケティング組織の立ち上げや、DX推進も経験し、現在はリコーにおいて、グローバルのマーケティングとソフトウェアビジネスのプロジェクトマネージャーを兼任しています。

鎌田(freee):2018年に電通デジタルへ入社し、BtoB企業を中心に大手クライアントのデジタルマーケティング戦略立案や、オペレーションの支援に従事していました。

フリー SMB事業本部 マーケティング部 部長(デマンドセンター管轄) 鎌田貴史氏
フリー SMB事業本部 マーケティング部 部長(デマンドセンター管轄) 鎌田貴史氏

鎌田(freee):3年前にfreeeへ入社した直後は、スタートアップ向け事業のリード獲得とナーチャリングを推進しました。現在はSMB向け事業において、顧客基盤の構築やマーケティングの全体戦略の立案・推進を統括しています。

富家(EVeM):ありがとうございます。私はモデレーターを務める富家と申します。前職のコニカミノルタジャパンにおいて、マーケティング組織を立ち上げから4年で30名規模まで大きくしました。

EVeM Marketing Director 富家翔平氏
EVeM Marketing Director 富家翔平氏

富家(EVeM):立ち上げた組織で事業全体のマーケティングを経験した後に、全社マーケティングの責任者を務めました。その後3,000名規模のコニカミノルタジャパンから10名規模のベンチャーに飛び込み、現在は“ひとりマーケター”として奮闘しています。

KPIは売上目標からブレイクダウンして設定せよ

富家(EVeM):このセッションでは「組織運営」と「施策実行」に関する各社の失敗事例を共有します。その背景や要因を形式知化することで、同じ過ちを繰り返さないためのヒントを皆さんに持ち帰っていただく狙いです。さっそく今村さんから、組織運営の失敗事例を聞かせていただけますか?

今村(リコー):マーケティング組織は非常に多くの部門と関わり合って仕事を進めなければならないため「各部門といかにコンセンサスを取れるか」が成功の鍵です。私からは、失敗の危険が潜むポイントを二つ紹介します。

組織の体制に潜む失敗
【クリック/タップで拡大】今村氏が製造業3社における経験を総括した図

今村(リコー):一つ目は「KPI設定」です。ここを誤ると大きな失敗につながります。マーケティングチームにおいては、創出するリード数やMQL/SQLの数がKPIになります。ただ、マーケティングチームでMQLやSQLを大量に創出しても、営業チームが売上を達成できなければ、会社全体としては目標を達成していないことになります。そのため、営業チームと同じ売上目標を追い、連帯感を持って進めることが肝要なのです。

鎌田(freee):各事業部が短期的なKPIに集中してしまうことは当社でもよく起こります。

今村(リコー):KPIを立てる際に、会社全体の売上目標からブレイクダウンする意識を持つことが大切だと感じます。

富家(EVeM):施策単位のKPIは追いかけつつ、「受注や売上という名のゴールに貢献できているか」を問うた上で、組織を眺めてみることが重要ですね。もう一つの失敗ポイントは何でしょうか?

今村(リコー):二つ目は「データの連携」です。SQLから売上を創出するためには、マーケティングチームのMAツールと営業チームのSFAツールを連携させる必要があります。最終的にはカスタマーサービスチームのCRMツールともデータをつなげなければならないのですが、これが非常に難しいのです。

 「各種ツールとデータの連携をもっと早く決めて動けば良かった」という反省があります。まずはアナログなやり方でも各部門のデータを連携し、走りながら成功したところをつないでいくような進め方ができれば、時間の無駄は生じなかったはずです。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46069

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