インフルエンサー選びはファン選び⁉企業が注意すべき点とは
SNSなどでインフルエンサーを起用する施策は、人気タレントを起用したマス向けのテレビCMとは違い、そのインフルエンサーのファンに向けたものとなる。だからこそ、「マス向けなのかファン向けなのか、届ける対象に応じてアプローチを使い分けるべき」だと伊沢氏は強調。インフルエンサーのファン向けに行う施策は、コンテンツに商品や広告宣伝が入ってくることをファンが望んでいるわけではないと、認識することが必要だ。
では、企業はどのようにインフルエンサーマーケティングに取り組めばよいのか。伊沢氏は前提として「ファンたちはインフルエンサーを見たがっています」と強調。だからこそ企業がインフルエンサーを活用するにあたって、「インフルエンサーの選択を通して、その先にいる顧客を選ぶことが重要」だと述べ、フォロワーの数や知名度ではなくファン層を意識してインフルエンサーを選択すべきだと語った。
さらに伊沢氏は、ファンが喜ぶ方法を最もよく知っているのはインフルエンサー本人であるとも話した。だからこそ、インフルエンサーのコンテンツに溶け込む広告宣伝を実現することが大切であり、企業はインフルエンサーの意見を取り入れて共創していくことが欠かせないという。

また生活者のニーズが多様化していることにともない、効率よく広告施策を投下していくことが求められる。インフルエンサーのコンテンツ作りの強みと、企業の自社商品・ブランドへの理解を組み合わせることで、ファンに向けてより効果的な発信ができるだろう。その上、共創することでインフルエンサー側にも当事者意識やPRする商品への愛着を持ってもらえ、コンテンツの質向上につなげられるのだ。
共創実現のために、企業が守るべき4つのこと
続いて伊沢氏は、企業とインフルエンサーの共創を実現する4つのポイントを紹介した。
1つ目は、「作り手の属性を重視する」ことだ。企業がまず誰に向けて発信したいかを明確化し、ファン層と届けたい内容を意識してインフルエンサーを選ぶのが大切だ。
たとえば、QuizKnockは厚生労働省協力のもと、若い世代に向けて年金の仕組みや年金シミュレーターなどの情報を動画ごとにクイズで発信する企画を実施。司会者が話題を年金の話に無理やりつなげたことで突っ込みが入るシーンを組み込むなど、バラエティー風のコンテンツを作った。
「年金というテーマから、若者に人気があるだけでなく難しい内容でも正しくわかりやすく伝えられるかという観点で、QuizKnockの属性を選んでいただいたのだと思います。ピッタリなマッチングだと感じました」(伊沢氏)
2つ目のポイントは「作り手のフィールドで戦う」こと。インフルエンサーは得意な領域がある一方、当然苦手なこともある。X(旧Twitter)で有名な人にYouTube案件を依頼したり、TikTokが得意な人にInstagramの施策を頼んだりすることは避け、得意な領域で勝負してもらうことが大事だと伊沢氏は解説した。
