「足で稼ぐ」体質への依存から脱却するには
日本企業は、いまだに「足で稼ぐのが営業」と思っている人たちが少なくありません。これまでの自分のやり方で会社の売り上げを作ってきたという自負があり、その成功体験を払拭することは難しい。とはいえ、経営者も「このままではいけない」と思っているからこそ、デジタルマーケティングへの投資を決めたはずです。何もしなければ状況は変わりません。
したがってマーケティングに協力してくれそうな営業を個別に声をかけ、一緒に活動をする。受注できたことを勉強会で共有すると、「デジタルで案件を獲得できたの?どうやって?」と意外に思う人たちが出てきます。こうして少しずつ理解してくれる仲間を増やしていくのです。
実はこの方法、私自身が前職でやってみて、効果を実感したことでもあります。何人かの成功を見て、今まで全然関心を示していなかった営業から「あれ、うちの部署でもやってみたいんだけど?」と言われるようになったことを覚えています。
では、どの営業と一緒にやるか。部門長同士で良さそうな人の情報交換をして決めるのが正攻法ですが、案件に困っている営業を捕まえるのも手です。営業は全員が全員、潤沢に案件を持っているわけではありません。「ちょっと案件が足りていないな」と考えているところに声が掛かると、やってみようと思ってくれるでしょうし、デジタルネイティブの若い営業と組んでみてもいいかもしれません。
共通目標を設定する際は「中間指標」を用いる
もう1つ、営業との一体的な収益化プロセスを構築した企業の例として、三菱電機の泊さんの話が参考になりそうです。泊さんは、「マーケティングが営業と共通の目標を持つことで、お互いが協力して目標達成に取り組める」と話していました。

アポイント数はマーケティング、オポチュニティ数は営業と分担を決めるのではなく、共通の目標とすることで、それぞれがアイデアを出し合うように変わる。営業と目標を共有することは、非常に良い方法です。
ここでのポイントは、アポイントやオポチュニティのような中間指標で目標を合意することです。マーケティングも売り上げへの貢献を明確にしたいところですが、BtoBのビジネスでは商談期間が長くなることが一般的です。商談が2年以上に長期化すると、マーケティングの貢献度は年単位で見えないままになってしまいます。
「結果が出ていないから、マーケティングは必要ない」と思われてしまうことは避けたいところです。また売り上げで成果貢献が測定できる場合もありますが、できない場合もあります。だからこそ、それぞれの活動の貢献度が見えやすい現実的な目標を設定する際、中間指標を用いることが有用です。