インサイドセールスが入ることで、対立構造が緩和するわけではない
プロセスの中にインサイドセールスチームがある場合も基本は同じです。注意したいのが、マーケティングと営業の間にインサイドセールスが入ることで、対立構造が緩和すると考えるのは早計です。「組織の壁」を越えることは単純なことではありません。
自社にインサイドセールスが必要か否かは、その会社が扱う商材にもよります。またインサイドセールスの本来の仕事は、商談化の確度の見極めです。
マーケティングから渡されたリードがもう少し見極めてから渡してもらわなければ対応できない。しかし上流から営業は動けない。その場合、インサイドセールスは必要です。そうではなく、マーケティングが見極めをして渡されたものが、営業としてすんなり対応できるのであれば、インサイドセールスは不要で、マーケティングがその役割を吸収します。
インサイドセールスを設置した企業の1つ、堀場エステックの志知さんは、「インサイドセールスの設置を安易に考えないでほしい」と話していました。もし、電話でアポイントを取る専門チームだと考えられている場合、それは大きな誤解です。

インサイドセールスチームがマーケティング組織の中にある場合もあれば、営業組織の中にある場合もあります。役割と位置付けが企業によって違うとしても、マーケティングが組織の壁を越えるには、自社のお客様がどんなコミュニケーションを経てその接点に来たのか、その理解を営業と一緒に共有することが欠かせません。
「組織の壁」を超えて、一体感のある収益化プロセスを構築するために
そもそも企業がゴールを達成することに、営業もマーケティングもありません。組織全体があるべき収益化プロセスで仕事をすることを目指すべきです。しかし、本当に全員がプロセス通りに仕事をするまでの一体感の醸成することは難しい課題です。
組織としてマーケティングに取り組む方針を周知しても、中には協力的ではない人も出てくるでしょう。そうだとしても、プロセスを営業個人の評価に影響するように設計し、そのことを理解してもらう必要があります。
データの入力1つをとっても、誰かがおろそかにすれば、期末の売り上げの見立てができず、正しい意思決定の材料が得られないことになってしまう。結果として、経営者の意思決定にも悪い影響があるわけですから、マーケティングについて理解してもらう努力が必要になってきます。
結局、営業との良好な関係を構築しているマーケティングは、営業と同じ言語、つまり共通目標を基準に会話ができるプロセス、体制を整えています。営業もマーケティングが何をやっているのかをよく知るべきですし、マーケティングも営業が何を求めているかを知るべきです。収益化のプロセスをお互いの利益のために進めて行くために、今ある組織の現状を捉え、解決していただけたらと思います。