【事例】売上への影響が2つのテレビ番組で異なった場合の原因分析
PDCAの例として、メッセージごとの効果を測定した食品メーカーの事例を紹介します。たとえば、2つの異なるテレビ番組で自社の商品が取り上げられた際に、番組自体の視聴率にはあまり差がないにもかかわらず、双方の売上への影響が大きく異なったということがありました。このような場合は、それぞれの番組で露出したメッセージや素材が違うのか、紹介のされ方が違うのか、または他に影響する因子があるのかなど、深掘りして原因を分析します。
以下の図は当事例で、テレビ放映後の広告換算値とPOSデータを可視化したものです。訴求内容の違いが、売上への影響に大きな差を生んだと考えられます。また視聴率が同程度の番組でも広告換算値が異なる理由は、「訴求内容B」の報道のほうが厚く・長尺で放映されたためです。
こうした結果から、訴求内容Bのほうが訴求内容Aより売上に貢献しているため、今後は訴求内容Bを中心にPRしていくのが望ましいと考えられます。
データで広報・PRの結果を検証することで、施策のチューニングを行う際に根拠をもって変更箇所を提示できるため、上層部や経営陣、他部署の理解を得やすくなります。広報の成果を分析して評価し、次の計画や発信内容を見直す、というサイクルで広報活動のPDCAを回していきましょう。
データ活用の進化により量的・質的に事業貢献する広報・PR活動へ
従来、広報活動の価値は広告換算値でしか測れませんでしたが、広報・PRの分析を手軽に行えるツールが登場したことで売上やWebサイトのアクセス数といった指標との関連性が可視化できるようになり、事業への貢献度合いを測定できるようになりました。これにより、戦略プランを実行するにあたって、施策の改善に取り組みやすくなっています。
プレスリリースを例にとっても、配信先の開封率の違いやその先の報道のリーチ数、自社Webサイトへのアクセス数との連動などから、タイトルの付け方や内容などを比較・改善し、次の広報活動への示唆を得られます。
定量的な側面だけでなく、質的な面でも課題を可視化できます。従来注目されがちだった認知度の高いメディア露出だけでなく、たとえばSNSなどへの波及効果や掲載内容の論調を見ることで、自社の事業により大きく貢献するメッセージや施策は何なのかを見極められます。具体的なデータ活用事例は、次回の記事で解説します。