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マーケター主導で進める生成AIの組織利用

生成AIを組織利用するメリット

メリット2:教育効率の圧倒的な向上

 生成AIの業務利用においては、必ず業種やビジネスモデルによって最適な型が出来上がります。普遍的な使い方以外に、業務上で成果を出すためには、業務フローに合った特徴的な生成AI活用の型を形式知化できるかが鍵になります。これらの型は、業務の中で誰かが発見し、共有し、社内で当たり前にしていくことが必要です。組織利用をすることで、集合知を活用するという教育・知識のレバレッジが働きます。

事例③初期教育の効率化

 生成AI活用の初期教育をメンバー全員で一緒に行うことができ、かつ企業として特色のある使い方についても同時に教えることができました。従来は個々がネット上の情報を基に、自ら使いながら学んでいたため、感度の高い人を除くと学習コストが高くなってしまう状態でした。組織利用を行うことで、自社で初期教育のプログラムを用意するにしても、外部の研修を活用するにしても、コスト効率を高めることができました。

事例④利用者間でのナレッジ共有による高め合い

 組織利用の場合、周囲の全員が生成AI活用の同士になります。人は教えることに対しても喜びを感じるもので、新しく得た最新情報や、成功体験となった使い方をシェアし合うようになりました。AIの専門用語も共通言語となるため、教え合うコミュニケーションが加速します。自身のナレッジを教えてくれるエバンジェリストが生まれ、最新情報に対して敏感になる人や積極的に学びにいく人が出てくるなど、全員の生成AIに対する向き合い方が変化しています。

メリット3:業務そのものが進化

 業務フロー全体に生成AIの活用を組み込むことで、業務そのものを進化させられます。特定の業務範囲内にしかAIを活用できない個人利用に比べ、ここが組織利用の非常に大きなメリットです。マーケティング組織であれば、たとえばデータ分析や市場予測、コンテンツ生成などのタスクをAIに任せることで、人的リソースをより戦略的な活動に集中させられます。

事例⑤Web記事制作フローへの組み込み

 Web記事コンテンツの制作において、記事の企画アイディア候補の作成、記事の骨格(アウトライン)の作成から、記事の詳細作成、最終化(編集、内容の最終確認、公開)といった各工程に生成AI活用のプロセスを組み込むことで大幅に工数を削減しました。加えて、AI活用を前提とした作成体制と計画を組むことで、計画の高速化とチームのスリム化も実現しています。

 従来は専任のライタースタッフが1人あたり月に数本の記事を作成する状態でしたが、現在は2倍を超えるアウトプット速度で安定的に記事を制作し、品質を落とすことなく成果も上がっています。さらに、企画立案だけを担当していた社員も月20本の高品質な記事を作成できるようになりました。

事例⑥マーケティングナーチャリングコンテンツの作成フローを変化

 メールコンテンツ施策に生成AIを活用した工程を組み込むことで、大幅に効率を向上させています。

 メールで展開するナーチャリングコンテンツは、目的とターゲットによってかなりの数の施策作成が必要です。従来は施策のたびにコンテンツの企画・制作を行っており、生産性を大きく下げる要因となっていました。AI導入後は事前にWebサイトや自社のコンテンツ素材を基にして、生成AIで数十のコンテンツ素案を数時間で一気に作成。その案を確認、最終化し、施策を実施する際にコンテンツとして活用できるようになりました。

 これらの事例からわかるように、生成AIを組織的に活用することで、個人利用では得られなかった集団利用シナジーが得られます。これによって社員一人ひとりも、組織としても、業務の大幅効率化やスキルアップ、創造的な業務への注力ができるようになるのです。

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組織利用がもたらす複利効果

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この記事の著者

石田 拓己(イシダ タクミ)

スターティアホールディングス株式会社 マーケティング部 部長
クラウドサーカス株式会社 執行役員 CSO

博報堂でマーケターとしてマス領域&デジタル領域&メディア領域に9年半従事し、40を超える幅広いクライアント案件に携わる。その後マツダのグローバルのDXプロジェクトに出向して携わった後、DMM.com の経...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46601

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