リアル世界の市場とLPO
目を閉じて想像してほしい。あなたは行き交う人の喧騒でごった返す街の市場にいる。人々は賑やかに買い物に興じ、店を覗きながら良さそうな所で立ち止まっては商品をためつすがめつ選んでいる。そんな人いきれの中、あなたは売る側に立っている。例えば「黒玉スイカ」を出来るだけ多くの人に売ろうとしている。
街の市場は目的の雑多な購買欲を抱いている人で溢れている。うまく欲求にヒットすれば黒玉スイカが売れることは分かっている。どうすれば上手く売れるのか?どんな人の欲望のどこを押せば黒玉スイカを買いたくなるのか?
これをLPOとリアル世界との比較で見ていこう。
まずはモチベーションが高い客を押さえる
LPOの場合、まずは黒玉スイカの購買意欲が高い客をつかまえる。キーワード「スイカ 無農薬 価格」などのピンポイントの掛け合わせで来るユーザーが、まさにターゲットである。無農薬のスイカの価格を調べているユーザーは、モチベーションが高いはずだ。買う気があるユーザーに対してお待たせしてはいけないのは、LPOだろうと実店舗だろうと同じこと。この場合、LPOに要求されるのは客を素早く購入完了させる事である。
街の市場であれば、つやつやと光る現物の黒玉スイカが目の前にあるから、訴求力はかなり強い。呼び止めて現物を見せ、試食させて味覚に訴えることで、ある程度の売上げを稼げるはずである。LPOではそのような物理空間による訴求が利用できないために、説明が必要となる。だから、どうしても全てを言葉で説明してしまいがちである。
例えば原産地はアフリカだの、漢方では皮が血管を拡張させるとされているだの、シトルリンがどうのこうのと黒玉スイカの効能についてクドクドと書き連ねて、スクロールさせるような長いページを用意したりする。目的が明確な人をそのような説明過剰なページへランディングさせるとどうだろうか? 買いたいのになかなか購入に辿り着けずイライラして離脱。過剰営業されたと感じて二度と訪問してくれないだろう。
LPOでは、欲求が明確な客に対してはページは短くし、ボタンを押したら即カートに1個入れてしまうのが望ましい。購入ボタンを押してカートに飛ばしてから、さらに購入個数を入力して購入してもらうのではまどろっこしい。個数の変更などはカートで行えば良い。ゴールまでの設計を最短距離にすることで最も効果が出るのは、目的が明確なモチベーションが高いユーザーである。だからまずは、購入ボタンを押させてゴールに近づいているという満足感を与えるべきである。
さらにユーザーは無農薬というキーワードで来ているのだから、「○○(生産地名)の農家の人が有機栽培で作りました」と農家の人と実が鈴なりの黒玉スイカの畑の写真でビジュアルに訴求すれば、より実感が湧く。その上で、表面に露のついたシズル感のある黒玉スイカの写真や、カットされた断面の写真などを加えれば心強い。