テレビデバイス全体での広告効果を最適化
MZ:これらの課題の解決に向けてフリークアウトでは、「TVCM3.0」という考え方を提唱していると聞きました。この考え方について教えてください。
松野:TVCM3.0は、地上波テレビCMとCTV広告で統一の指標を設け、テレビデバイス全体での広告効果の最適化を図る考え方です。この統一された指標を活用することで、広告主にとって本質的な指標を用いてPDCAサイクルを回すことを目指します。
後舎:当社では、この「TVCM3.0」の考え方に共感し、テレビCMとCTV広告の共通指標としては、REVISIO様が提供するA-UR(Attention unique reach)を活用しています。
A-URは、REVISIO様が持つ認識技術で独自パネルが「テレビデバイスの画面を注視しているか」を測り、広告1回あたりの接触した人数の割合を示す評価指標です。当社では地上波の評価指標としては、2019年よりA-URを活用していました。これをCTV広告にも適用することで、地上波もCTVも同じ基準で広告効果を測定することが可能な状況でした。
後舎:また、従来テレビCMの効果測定で活用されるGRPでは、実際にCMが見られたかまでは追えませんが、A-URの活用によりこの部分も可視化できるようになっています。
“地上波”と“CTV”を掛け合わせてA-URを最大化
MZ:TVCM3.0の考え方を踏まえて、KDDIが実施したプロモーションについて教えてください。
後舎:当社では、2023年9月に「auマネ活プラン」というサービスをローンチしました。新しいサービスということもあり、効率的なサービス認知の拡大が必要でしたので、テレビデバイスを活用した広告配信を行うことにしました。
後舎:当プロモーションの注力ターゲットはMF1層で、CTV広告の配信先には、「GP」を用いたYouTubeでの配信選定。一方、地上波テレビでは、注視度が最も高い時間帯を中心にCM放映のプランニングを行いました。これにより、A-URの最大化を目指しました。
MZ:REVISIOとフリークアウトは具体的にどのような支援を行ったのでしょうか?
東野:当社は、出稿前については、地上波テレビCMの効果的なプランニングのサポートを担当。また、出稿後には、地上波とCTVの統合の振り返りを行いました。
具体的には、過去のA-URデータを基に各時間帯における視聴者の注視度を可視化したヒートマップを作成。当社のパネルから、通常KDDI様のテレビCMを見ていない視聴者層がよく見ているテレビ枠に出稿するようにし、彼らからの注視獲得を目指しました。
事後の統合振り返りについては、地上波とCTVそれぞれの予算と獲得したA-URからA-UR獲得単価を集計。地上波とCTVのどちらの出稿効率が良かったのかを評価しました。
松野:フリークアウトでは、CTV広告の配信をサポートしました。当社のグループ会社が提供する「GP」を用いてYouTubeのコンテクスチュアルターゲティングを実施。注視されにくいコンテンツや、ブランド毀損につながるコンテンツへの広告配信を効率的に排除することで、A-UR向上を図りました。
具体的には、YouTube上にある動画の説明文、タイトル、映像内容を解析し、ながら見や子ども視聴、ブランド毀損に該当する動画を抽出。最終的には数万にのぼる動画コンテンツを広告の配信対象から除外しました。
松野:GPでは、独自の高度な解析技術によって動画内の会話内容まで解析できます。広告の注視につながりにくいコンテンツでの無駄打ち配信を防ぐだけでなく、不適切な発言を含む動画を配信先から除外することで、ブランド毀損の防止も目指しました。従来のIDベースのターゲティングで課題となっていたモーメントの違いやターゲットリーチ率の低さに対し、GPは人ではなくコンテンツ自体を重視するアプローチを取っているため、課題解決につながります。