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愛されるブランドの仕組み:ブランド・リレーションシップ入門講座

ブランドと顧客の絆の強さはどう測る? 日本の自動車メーカー5社のスコア比較を例に解説【第3回】

製品カテゴリーを超えた比較も可能

 BRSの優れている点は、他にもあります。それは、異なる製品カテゴリー同士での比較ができることです。たとえば「パナソニック」と「ドン・キホーテ」と「資生堂」を比較することができます。またブランド・リレーションシップが高い製品カテゴリーや、低い製品カテゴリーを明らかにすることもできます

 もしブランド・リレーションシップが低い製品カテゴリーでビジネスを展開していたら、どうしたらよいでしょう。愛着が生じにくいカテゴリーだから、ブランド・リレーションシップの形成をあきらめてしまうというのは1つの考え方です。しかし戦略的に考えた場合、ブランド・リレーションシップが形成されにくいカテゴリーであるほど、ブランド・リレーションシップを形成できたときの効果は大きくなるとも考えられます。

 連載第2回では「ペヤング ソースやきそば」のファンの事例を紹介しました。これまでの調査によると、食品カテゴリーにおけるブランド・リレーションシップは自動車やテーマパークと比べて、あまり高くないことがわかっています。しかし、そうした中で「ペヤング ソースやきそば」はしっかりとファンをつかみ、確固とした地位を築いています。

13年経ってもブランド・リレーションシップは揺るがない

 ここまでお読みいただいた皆さんには、ぜひ実際にお手にとってご覧いただきたいのですが、拙著『ブランド・リレーションシップ』では2010年と2023年に行った調査の結果を公表しています。ブランド・リレーションシップ(あるいはファン・マーケティング)について、13年もの期間をおいて行われた調査は、おそらく世界でも他にありません。自画自賛のようになってしまうのですが、大変貴重なものだと思います。

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ブランド・リレーションシップ』(著)久保田進彦、有斐閣、6,160円(税込)

 2つの調査結果を比較してわかるのは、13年間もの時間経過あるにも関わらず、BRSが大きく変化したブランドがわずかだということです。これはブランド・リレーションシップが長期的に安定したものであり、容易には変化しないことを示しています。

 まったく違う時期に、まったく違う人に尋ねたにもかかわらず、一貫性の高い結果が示されたということから、ブランド・リレーションシップが非常に強固な経営資源であることがわかります。同時にそれは、付け焼き刃では対応できないものであり、長い時間をかけて、戦略的に取り組む価値があるものであることも意味しています。

 今回は、ブランド・リレーションシップの測定について説明しました。ブランド・リレーションシップは「態度」や「満足」とは異なるため、独自の測定尺度や評価指標が必要となります。そこで「ブランド・リレーションシップ尺度」や「ブランド・リレーションシップ・スコア」をご紹介しました。またブランド・リレーションシップ・スコアから読み取れるヒントについても、少し考えました。

 次回はブランド・リレーションシップが形成されると、どのような効果が生じるのかについて考えていこうと思います。

【参考文献】

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この記事の著者

久保田 進彦(クボタ ユキヒコ)

青山学院大学 経営学部教授、博士(商学)(早稲田大学)。日本商業学会学会賞受賞(2007年論文部門 優秀論文賞、2013年著作部門 奨励賞)、公益財団法人吉田秀雄記念事業財団助成研究吉田秀雄賞受賞(2010年度、2016年度)。最新作は『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣)他著書多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/22 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46711

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