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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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社会価値創造×事業成長の両輪を目指して

SaaS企業が地方創生プロジェクトを展開中 CSRではなく事業として持続させていくために必要なこと

 創立20年以上の歴史ある老舗SaaS企業、シナジーマーケティングは、自社CRMツールを活用した地方創生事業「re:connect(リコネクト)」に取り組んでいる。2021年にスタートし、8地域で展開する同事業。慈善事業とは異なり、営利を目的としつつ社会価値と事業価値を高めていくために、必要なことはなんだろうか。立ち上げの経緯から、事業として持続していくためのコツまで、取締役 兼 COOの岡村雄太氏に聞いた。

CRMツールを起点に、柔軟な発想で地域課題を解決

MarkeZine編集部:はじめに「re:connect」とはどんな事業なのか教えてください。

岡村:「re:connect」は、シナジーマーケティングがこれまで展開してきたCRM(顧客関係管理)事業やデジタルマーケティングの知見を活かし、地域の関係・交流人口の創出、育成を支援する地方創生事業です。2021年にスタートした「re:connect」は、2024年9月時点で和歌山市や神戸市、高知県日高村など8地域に展開中。各地の自治体や観光協会と密に連携しながら、二人三脚でプロジェクトを進行しています。

シナジーマーケティング株式会社 取締役 兼 COO 岡村雄太氏
シナジーマーケティング株式会社 取締役 兼 COO 岡村雄太氏

MarkeZine編集部:各プロジェクトでは具体的にどんなサービスを提供されているのでしょうか。シナジーマーケティング社のCRMツールの導入支援などですか?

岡村:起点となっているのは当社のSaaS型CRMツール「Synergy!(シナジー)」です。しかし、地域によって課題はさまざまですので、型にはまった導入支援ではなく、課題にあわせた戦略立案や企画開発、仕組みづくりをデジタルの力で推進しています。

 たとえば、観光に集客課題があれば、いわゆる「旅マエ・旅ナカ・旅アト」で接点をもって地域のファンづくりに貢献するサービスを、移住・定住に課題があれば「地域おこし協力隊」にフォーカスを当て、スキルアップや卒業後の就職支援などができるサービスを提供しています。地方創生に正解はありませんので、私たちも試行錯誤しながら最善案を模索しているところです。

なぜ、地方創生事業に踏み出したのか?

MarkeZine編集部:「re:connect」は、どのような背景で立ち上げられたのでしょうか?

岡村:シナジーマーケティングは「Create synergy with FAN」というミッションのもと、過去20年以上にわたり、CRMの技術やノウハウで「企業のファンづくり」に貢献してきました。

 そんな中、我々が地方創生に目を向ける転機となったのが、内閣の打ち出した「デジタル田園都市国家構想」です。デジタル田園都市国家構想は、デジタルの実装を通じ、地域の社会課題の解決と魅力の向上を図っていく地方活性化のための構想。まさに私たちの得意分野である「デジタルの力を使ったファンづくり」が活かせると考え、「re:connect」を立ち上げたという経緯があります。

 また、「ファン」にもさまざまグラデーションがありますよね。今はその地域に住んでいなくても、地元に強い愛着を感じている人や、特定地域に貢献したいと考えている人はいるかもしれません。何かのきっかけで一度でも地域に関与した方を顧客と見立てて、コミュニケーションプロセスを構築・管理していくようなCRM的なアプローチは、Uターン就職や移住などに課題がある地方自治体と相性がよいと考えました。

MarkeZine編集部:一般企業と地方自治体では、「ファンづくり」における進め方や取り組みに違いはありますか?

岡村:根本的な進め方は同じです。一般企業でも地方自治体でも、明確な課題感をお持ちの場合が多いので、そのお話を聞きながら一緒に伴走していくスタイルをとっています。たとえば、「移住を検討するような濃いファンと、観光でたまに来訪するような薄いファンをそれぞれ分けて管理したいけれど、どうしたらいいかわからない」といったお話はよくいただきますね。こういった課題もCRMツールの活用で解決可能です。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/30 12:15 https://markezine.jp/article/detail/46864

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