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社会価値創造×事業成長の両輪を目指して

アクセンチュアが小学校を?世の中の当たり前を問う「さやか星小学校」プロジェクト

 経済価値と社会価値の創造を両軸で進める企業市民活動に力を入れているアクセンチュア。人々の生活向上に欠かせない人材・スキル課題に着目した取り組みを世界各国で推進し、日本においても独自の取り組みを展開している。その一つが、デジタルテクノロジーと行動分析学を掛け合わせることで、学校での学び・評価・人間関係の「当たり前」を変えるような先端教育を提供している「さやか星小学校」のプロジェクトだ。アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部の山田都照氏、アクセンチュア ソング傘下のクリエイティブ・エージェンシー Droga5 Tokyoの春日井智子氏に話をうかがった。

新たな教育環境を整えていく。起点としての「さやか星小学校」

MarkeZine編集部:最初に「さやか星小学校」とはどのような学校なのか、教えてください。

山田:さやか星小学校は、2024年4月、長野県佐久市に開校した私立の小学校です。「教育のあたりまえを変えていく」というメッセージを掲げ、デジタルテクノロジーと行動分析学を掛け合わせた先進的な教育を実践しています。

 行動分析学の研究者である奥田健次先生が理事長を務める学校法人が運営しており、現在、1年生から4年生までの計22人が、第一期生として学んでいます。私たちアクセンチュアは、学校の理念に賛同し、社会貢献活動の一環として約3年前から支援してきました。

 さやか星小学校の教育において特徴的なのは、「個の成長」に目を向けている点です。大人だって、得意なことや好きなことは、一人ひとり異なりますよね。学力偏差値という“単一のものさし”で評価するのではなく、マルチな視点で子どもたちを見つめ、それぞれの価値を引き出すことを大切にしています。

 一人ひとりの学習の速度に合わせた「パーソナライズ学習」では、個々の児童の学習進捗を詳細に記録するシステムを構築。単に“点数”を記録するだけでなく、各科目や活動における具体的なつまずきの箇所を特定し、データとして蓄積することで、一人ひとりに合わせたケアを実践します。

 従来の教育システムでは、テストの結果を見て評価をし、結果の良し悪し関係なく自動的に次の単元に進むことが多いですが、本システムでは学習内容を十分に理解できているレベルまで分解し、個別に対応します。今後も継続的にデータを蓄積し、改善を図っていく予定です。

MarkeZine編集部:アクセンチュアは、さやか星小学校の開校に向けて、構想の段階から携わってきたと聞いています。さやか星小学校のプロジェクト立ち上げの背景をお聞かせください。

山田:アクセンチュアは、社会への貢献と自社の利益が両立する「Responsible Business」を重視しており、本業のビジネスそのものが社会課題の解決に寄与することを目指しています。加えて、コンサルティング企業であるアクセンチュアの最大の資産は「人」ですから、社員が本業で得たスキルや知見を「企業市民活動」として社会課題解決のために無償で提供する活動も行っています。

 たとえば、企業の経営戦略などを支援する戦略コンサルタントの私は、業務で用いる論理的な思考や、事業成長に関するノウハウなどを「企業市民活動」において無償で提供しています。

アクセンチュア株式会社 プリンシパル・ディレクター </br>ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ 山田都照氏
アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ プリンシパル・ディレクター 山田都照氏

 この「企業市民活動」において、グローバルで取り組んでいるテーマが「Skills to Succeed(スキルによる発展)」です。日本においても、人々の生活向上に欠かせない人材・スキル課題に着目した取り組みを推進しており、さやか星小学校のプロジェクトもこの一環で進めてきました。

MarkeZine編集部:なるほど。MarkeZine8月号の特集(8/27公開予定)でも、アクセンチュアのSkills to Succeedについて詳しく聞きました。この活動が発展した先に「さやか星小学校」が生まれていたのですね。

山田:ええ。また、さやか星小学校では、私たちが本業で培ってきたテクノロジーを活用できると考えました。

 アクセンチュアでは、障がいのある社員が働きやすい環境を整備した拠点である「サテライト」を設けています。ここではデジタル技術を用いて個人のパフォーマンスを詳細に計測するシステムを導入しており、その結果を業務やフィードバックに反映し、それぞれの社員が強みを活かして働けるようになっています。

 加えて、このシステムに導入されているのが、成果に応じてスコアが上昇していくゲーム感覚の仕組みです。これにより、モチベーション向上のほか、結果的に生産性が向上することがわかっています。この仕組みを小学校向けに変えたものが、最初に紹介した「パーソナライズ学習」のシステムです。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46075

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