自分が編み出した言葉が組織の理念に。プロジェクトを通しての学び
MarkeZine編集部:アクセンチュアが掲げる“Skills to Succeed”の取り組みは、社会に貢献するだけでなく、自社の人材育成・強化にもつながっていると聞きます。春日井様は今回のプロジェクトを通して、「広告」との向き合い方など、ご自身の意識や視点の変化を感じましたか?
春日井:「さやか星小学校」のプロジェクトでは、組織のミッションを共に創り上げるという、より本質的な部分に深く関わることができました。前職(広告代理店)を含め、これまで経験してきた広告に関わる業務よりもはるかに上流の過程に関わることができたと思います。
開校式に出席したメンバーから後日話を聞いたところ、「教育のあたりまえを変えていく。」というミッションが、教員を含む関係者全員に深く浸透しており、それぞれが自分のミッションとして捉えていたそうです。「さやか星小学校」が目指す社会変革の理念が、関係者全員の共通言語となっていたのです。
自分が作った言葉が、ひとつの組織を束ねる中心的な理念となったことに、大きなやりがいを感じました。
難しいけど、面白い。「さやか星小学校」のこれから
MarkeZine編集部:「さやか星小学校」をこれからどのように発展させていきたいと考えていますか?
山田:現在は初年度ということもあり、児童数もまだ多くはありません。また、現時点では卒業する児童たちの進学先となる中学校がまだないため、4年生までしか受け入れていません。6年間というスケジュールの中で、現在在籍している児童たち、そしてこれから入学してくる生徒たちに対して、教育を提供していく計画です。
私たちの目標は、多様なものさしで評価した時に、児童たちが大きく成長し、楽しく学べる環境を提供することです。もちろん楽しいだけではなく、将来の就業に向けた確固たる土台を築くことも重視しています。児童たちが将来の就業に向けての基盤をしっかりと形成できれば、これ以上の喜びはありません。目下力を入れて取り組んでいくべきことは、このような教育環境を整え、実践していくことだと考えています。
そして、最終的には「さやか星小学校」1校に留まらず、このような教育環境を日本全国へと広げていくことをゴールに見据えています。

春日井:「さやか星小学校」に子どもを入学させることを考えている人はもちろん、そうでない人の中からも、従来の教育のあたりまえを変えたい、「さやか星小学校」の教育方針に賛同できると思っていただける人を増やしていけたらと思います。
山田:一般的な事業展開では、社会の課題やニーズに対して解決策を提示するという手法が取られます。しかし、ここまでお伝えしてきた通り「さやか星小学校」プロジェクトを通して私たちが取り組んでいることは、誰もが明確に認識している課題に対応するのではなく、新たな世界観を創造し、それに賛同を得ていくというものです。
賛同を得る対象は、組織や個人といった区切り方ではなく、どのような想いを持っているかで見ています。組織か個人かに関係なく、どうすればうねりを作っていけるのか。このような「ぐちゃぐちゃとした」状況には確かに難しさがありますが、だからこそ、大きな可能性と面白さがあるのだと感じています。