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業種別アプリマーケ事例大全

購買の瞬間だけでなく、長くお客様と関わるために。スギ薬局の「いつでも、どこでも」なアプリ戦略とは

 店舗を持つ多くの企業が、デジタルでの顧客接点としてアプリを活用している。顧客によりよい購買体験を提供し、長期にわたる関係を構築するにはどのようなことがポイントになるのだろうか。本記事では、「スギ薬局アプリ」をはじめとする複数のアプリを提供するスギ薬局のデジタルマーケティング部 増田氏に、マーケティング戦略やID統合・アプリリニューアルなどの施策についてインタビュー。顧客が「いつでも、どこでも、手のひらにスギ薬局」を感じられる環境を目指す取り組みを伺った。

「スギ薬局アプリ」をはじめ3種類のアプリを展開

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、スギ薬局が展開するアプリについて教えてください。

増田:当社では、「スギ薬局アプリ」「スギサポwalk」「スギスマホでお薬」の3つを基本のアプリとして提供しています。

 「スギ薬局アプリ」はアプリ群のメインの位置づけとなり、お客様の買い物体験を高め、便利に感じていただくためのものです。ポイントカード機能に加えてクーポンやイベント・商品などの情報、暮らしに役立つコンテンツの配信機能、キャンペーンへの応募機能などを提供しており、2024年現在1,300万ダウンロードを達成しています。

 「スギサポwalk」は、歩くほどマイルがたまる歩数計アプリです。貯まったマイルはスギ薬局で利用できる「スギポイント」に変換できます(2025年春にリニューアル予定のため、現在サービス一時休止中)。

 「スギスマホでお薬」は、アプリを通じて事前にかかりつけの薬局や近くのスギ薬局に事前に処方箋の写真を送ることで、短い待ち時間でスムーズに薬を受け取れるアプリです。加えて、困り事をチャットで薬剤師に相談できる機能や、服薬指導を受けられる機能も付いています。

株式会社スギ薬局 デジタルマーケティング部 部長 増田瞬氏 2021年に立ち上がったDX戦略本部のデジタルマーケティング部で、同社のアプリおよびそれに関わるサービスや施策全般を推進する。
株式会社スギ薬局 デジタルマーケティング部 部長 増田瞬氏
2021年に立ち上がったDX戦略本部のデジタルマーケティング部で、同社のアプリおよびそれに関わるサービスや施策全般を推進する。

MZ:アプリのメインユーザーは、いずれもスギ薬局の会員になるのでしょうか。

増田:はい。既存の会員様の買い物などをサポートするため、アプリを活用しています。ユーザー層も、若年世代から90代まで幅広い年代の方に使っていただいています。スギサポwalkやスギスマホでお薬は買い物とはまた違ったシーンで活用するものなので、あえて世界観を分ける意味合いで、スギ薬局アプリとは別のアプリとして作りました。

スギ薬局が掲げる「トータルヘルスケア戦略」

MZ:スギ薬局のマーケティング戦略全体における、アプリの役割や位置づけも教えてください。

増田:スギ薬局グループでは、「トータルヘルスケア戦略」を掲げています。これは、健康を継続するための「セルフケア」、病気の治療に向き合う「医療・服薬」、そして「介護・生活支援」の各ステージにおいて、地域の異業種間の連携なども行いながらお客様とのつながりを持ち続けることを目指す戦略です。

スギ薬局グループが掲げる「トータルヘルスケア戦略」
(出典:https://www.sugi-hd.co.jp/company/message/management.html、クリックして拡大)

増田:私たちはこのトータルヘルスケア戦略を実現する手段としてDXを推進しており、その取り組みの中でも「データ」の活用が重要だと考えます。そのため豊富な店舗のID-POSデータだけでなく、各アプリの利用データや店頭での化粧品の接客で用いる電子カルテなどのデータも集約し、蓄積しています。

 これらのデータを分析することで、お客様が感じる暮らしや健康といった課題・ニーズの把握、商品開発、既存の商品・サービスの改善などに活かしています。データ分析によってお客様に価値を提供し、購入や利用をいただくことでさらにデータを蓄積していく。このサイクルを回すことが、トータルヘルスケア戦略につながっていくと捉えています。

 そして、このサイクルの中心にあるのがポイント会員プログラムとなります。従来は景品と交換するためのものでしたが、2023年からレジでのお支払いにもポイント活用が可能になりました。本プログラムに会員登録いただいたお客様にポイント活用をはじめとした体験を提供する手段が、スギ薬局アプリという位置づけです。

 お客様の目線では、普段のお買い物でポイントを貯めたり使ったりする体験ができる裏側で、私たちはお客様にリアル店舗とデジタルそれぞれの接点からデータを提供いただき、よりよい商品・サービスの提供や体験向上のために活用しています。

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アプリのID統合で、購買データだけでは読み取れない顧客の姿を分析

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46994

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