SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

イベントレポート

AIと人間のチームに必要な戦略は?世界のCMOたちに学ぶ/INBOUND 2024レポート

「AIを使って成長する組織」はどう作る?

 AI活用と組織成長については「Unleashing Your Marketing Team’s Potential With AI(AIでマーケティングチームの潜在能力を引き出す)」と題されたセッションで、ゼイネプ・イナンオール・オズデミル氏がヒントを示した。同氏はオーストラリアのシドニーに本社を置く、エンジニア向けのソフトウェア企業「Atlassian」でCMOを務める人物だ。

画像を説明するテキストなくても可
ゼイネプ・イナンオール・オズデミル(Atlassian CMO、写真右)と、セッションを進行したマット・ウルフ氏(FutureTools.io Host of The Next Wave Podcast、写真中央)、ネイサン・ランズ氏(Lore Founder、写真左)

 オズデミル氏によると、一般的な企業でAIが使えない理由は「会社のポリシーに合わない」「ガイダンスがない」「どう使えば良いかわからない」のいずれかに絞られる。活用を進めるためには、マーケターが受け入れること、そしてユースケースをきちんと広げることが重要だと同氏は述べた。

 特にAIが有用な領域としては、コンテンツマーケティングを挙げる。コンテンツ制作に時間がかかることは多くのマーケターにとって課題だ。そのプロセスをAIによって加速することは、オズデミル氏もやはり重要視しており、「頭の中の表現がそのまま画像や動画になる。そんなマーケターたちの夢が実現しようとしている」と話す。まずは個人的にでもAIにたくさん触れてみることを同氏は勧めた

 なお同セッションで挙げられた調査データによると、マーケターによるAIの使い道として最も回答が多かったのは顧客理解のためのリサーチ、次にコンテンツ制作だった。

 別日に行われたセッション「AI-First Marketing with OpenAI(OpenAIを活用したAIファーストマーケティング)」でも、OpenAIでマーケティング戦略部長を務めるデイン・ヴェイヒー氏が「マーケティングにおけるAIの基本用途」について言及した。

画像を説明するテキストなくても可
メインステージのスクリーンに映し出される、デイン・ヴェイヒー氏(OpenAI Head of Strategic Marketing)

 同氏が挙げた用途は「リサーチ」「データ分析」「コンテンツ生成」「自動化&コーディング」「検討」の5つ。ここで言う検討での用途は、壁打ち(ブレスト)などを指している。

 特に、今後ローンチ予定の「Search GPT」では必要なリサーチを会話形式で実行することが可能になると言う。同セッションで行われたデモでは、「ヨーロッパで歯科医向けのソフトウェアを売るために何をすれば良い?」という質問をすると、市場の概要、コンプライアンスなど様々な結果をすぐに返答。他にも、「合っているマーケティングイベントを教えて」と質問すると現地のエージェント情報などを表示、「ドイツ市場への参入にはどうすれば良い?」という抽象度の高い質問にも、様々な施策を提案するなど、高い汎用性を見せた。

ロジカルさだけでは仕事にならない。マーケターが求められる人間力

 今回のINBOUNDではAI活用が深く語られる一方で、その中でこそマーケターに求められ、重要視される「人間としての能力」についても数多く言及されていた印象だ。

 たとえば、「Good Isn’t Good Enough: CMO Secrets to Leveling Up Your Team(良いだけでは充分ではない━━チームをレベルアップさせるCMOの秘訣)」においても、AsanaのCMOであるシャノン・ダフィー氏は「顧客の感情を変えるのがマーケターの仕事なら、ロジカルさだけでは仕事にならない。そんなマーケティングを志したい」と答えている。

画像を説明するテキストなくても可
シャノン・ダフィー氏(Asana CMO)

 この観点は、顧客や従業員とのコミュニケーション、関係づくりに対して同氏が持つ考え方にも広く通じているようだ。ダフィー氏はAIをチームメイトとして受け入れることで、言語や時差の壁を乗り越えることもでき、チーム内のコミュニケーションにおいても理解が進むと説明。また、マーケターやそのチームリーダーにとって、チームメンバーや顧客などからフィードバックを得てプランニングに活かすこと、学び続ける姿勢は普遍的に重要だと、セッションを通じて強く主張した。

 では、ブランドの想いを顧客に伝えるには、改めてどう考えるべきか。たとえば、ブランドの持つ背景やストーリーを伝えることが重要だという主張は日本でもしばしば見かけるが、それは本当なのか。まさしくこのテーマについて詳しく語られたセッションが、「Stop Telling Stories: Have Brand Conversations That Convert(ストーリーを語るのはやめよう━━ブランドらしくコンバージョンにつながる会話をしよう)」だ。

 同セッションに登壇したのは、ケイト・ディレオ氏。同氏は近年のマーケティング業界において世界的ベストセラーを送り出した著者であり、ブランディングのフレームワーク「The Brand Trifecta」を生む出した人物だ。このセッションでも同手法に基づいて「効果のないストーリーテリングを排除する方法」が伝えられた。

次のページ
ストーリーを語るのをやめよう。相手と会話を続けるために

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
イベントレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/09/30 07:30 https://markezine.jp/article/detail/47059

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング