モバイル経由の視聴が増加、アプリに本腰
TwitchConに合わせて、Twitchはいくつかの強化を行なっている。ポイントは3つ。エンゲージ、オーディエンスの発見、コンテンツ作成だ。
具体的な発表内容を見てみよう。まずは7年ぶりというモバイルアプリの刷新だ。アプリのパフォーマンスの強化として新しいビデオプレイヤーを導入、ナビゲーションでもスワイプでのフォロー・ドロワーが開くようになり容易にフォローしているチャンネルを見つけられるようになった。ブラウジング中もピクチャ・イン・ピクチャプレイヤーが手前に表示されるようになるなどの変更が発表された。
ゲーム配信はPCが主体だったことから、モバイルは後手に回っていた。このところ本腰を入れはじめた背景には、「新しい視聴者の70%がモバイルアプリを経由している」(クランシー氏)という事情がある。新しいモバイルアプリをローンチして以来、iOSでの動画再生は60%、Androidは100%以上増えたという。

10月にはフォロー中のチャンネルのサムネイル表示など、さらなる強化が加わる予定だ。
長時間のライブ配信から一部を切り取るClip機能も強化した。ストリーマーが最近のストリーム履歴からのClipをカルーセル表示し、そこからソーシャルで共有できる「Clip Carousel」、Clipの検索やフィルタリングなどの機能を加える計画を発表した。
コラボレーションでは「Shared Chat」として、ストリーマーがコラボする「Stream Together」を利用中に、それぞれのチャットを共有できる機能が加わった。チャットが統合されるため、各ストリーマーのチャットを見に行く必要がなくなる。

視聴体験では、2023年に締結したNVIDIA、それにオープンソースのストリーミングソフトウェアOBS(Open Broadcaster Software)との協業で実現する「Enhanced Broadcasting」を通じて、ストリーマーが動画のクオリティを管理できるようになった。2025年には、1440p(2k)解像度のサポート、ランドスケープとポートレイトの両方のサポートなどが加わるという。
これらの機能強化と同様に重要なのが、セーフティ関連の機能だ。ソーシャルメディア上のトラブルを未然に防ぐことを目的にTwitchはすでにガイドラインを敷いているが、今回違反を明確にした。まずはチャットで導入し、違反と判断された部分のチャットの抜粋をメールとポータルで説明する。異議を申し立てることもできるという。今後はライブストリーム、VOD(オンデマンド)で発生した違反を確認できるクリップも提供するという。
利用停止については、警告→一定時間の利用停止→追放という3ストライクをとっているが、これまでは永久に残っていたストライクが、2025年より深刻さの度合いに応じてストライクを失効させる仕組みも導入する。
8月に導入した「Creator Club」プログラムも拡大する。ストリーマーがコミュニティを見つけやすくするもので、メンバーは専用のDiscordサーバーにアクセスでき、他のクリエイターとやりとりできる。DJとIRL(In Real Life:実生活)の2カテゴリでスタートし、1ヵ月で1,000以上のパートナーとアフィリエイトが参加しているという。
TwitchConでは、「Artists/Makers」「Music」「VTubers」「Coworking/Coding」のカテゴリでCreator Clubを組成することが発表された。