全社員が取り組むオンライン家庭訪問調査
──インサイトを把握するために、取り組んでいることを教えてください。
当社ではダイレクトマーケティングを通じて、お客様に商品を直接お届けしています。お客様からもお声を直接届けていただけるため、膨大な対話履歴からニーズを抽出することができるのです。
──アプリを通じて収集できるデータも、インサイト把握の一助となっていますか?
デジタルの利点は、お客様の行動を捕捉できる点にあります。インサイトは無意識の行動に表れるため「アプリをインストールした後に開いていない」「この機能を使っている人が継続利用している」など、お客様のジャーニーから仮説を立てています。
ただ、テキストベースの対話履歴やアプリの行動データだけでは個々のお客様の文脈を捉えることが難しいため、2020年9月よりZoomを介したオンライン家庭訪問調査を実施しています。先に申し上げたとおり、シニアのインサイトは多様です。多様化に対応する意味でも、オンライン家庭訪問調査が有効との考えです。
──オンライン家庭訪問調査について、詳しく教えてください。
あらかじめ用意した質問項目に沿って、社員自らが約1時間のインタビューを実施します。自社の商品の使用感をうかがうというよりは「これまでの人生で楽しかったこと」「逆に辛かったこと」など、その方の人生を辿るような質問がメインです。基本的には当社のお客様を対象としていますが、場合によっては商品を購入いただいたことのない方にも話をうかがいます。これまで約1,500名の方にインタビューを実施してきました。
オンライン家庭訪問調査の特徴は、マーケティングの担当者に限らず、研究職や生産管理、人事・広報の担当者など、文字どおりすべての社員が行っている点です。社長の沖中は「どこよりもシニアを理解できる企業になる」と語っています。ただ、当社のメンバーの多くが30〜40代で、シニア世代の当事者ではありません。だからこそ、社員全員がシニアの方々から直接お話をうかがい、理解を深める意義があるのです。
──磯田さんもオンライン家庭訪問調査を実施されましたか?
はい。こども食堂を開こうとしている方とお話をした際は、バイタリティに圧倒されました。第二の人生で新しいチャレンジに踏み出す方は結構いらっしゃいます。また、過去に大病を患った経験がある方とも話す機会があったのですが、大変な思いをされたからこそ、今を生き生きと過ごされている印象です。
──インタビューを通じて、シニア理解に対する御社の本気度が伝わりました。最後に、御社の展望をお聞かせください。
当社が掲げるミッション「ひとりひとりの『生きる』を輝かせる〜体と肌と心のつながりを通じて〜」に、Comadoをより近づけたいです。そのためには、多様なシニアのインサイトに対する向き合いがまだまだ不十分だと感じています。今後はパーソナライズを強化し、一人ひとりに合ったメニューや健康習慣を提案できるようにしていく考えです。
加えて、Comadoを社会とのつながりが感じられるプラットフォームに成長させたいです。ゆくゆくはオフラインの催しなどを開き、会員同士が交流できる場も用意したいと構想しています。日本のシニアがいつ訪れても楽しめるような、総合ウェルネスケアプラットフォームにする。これが私たちの最終的な目標です。