法則7:「フォン・レストルフ効果」by Hedwig von Restorff(1933)
孤立効果とも言われるフォンレストルフ効果。これは、私たちの脳は、似たものが並んでいるとグルーピングして記憶に残りやすいという性質に関する法則です。見た目が近いものはグループ化されるため、いちばん記憶に残りやすいとされているのは「異なるもの」です。
その情報のコントラスト比を利用することは、ユーザーがもっとも重要なコンテンツにフォーカスするための有力なガイドになりえます。重要なアクションや情報を強調したいというデザインの意図を伝えるときや、ユーザーが目的を達成するために必要なものを素早く識別できているかを確かめたいときなどに役立ちます。ただし、視覚的に競合しあう要素があまりにも多いと、フォン・レストルフ効果が薄れ重要な要素が埋もれてしまう場合もあるため注意しましょう。
たとえば、ある商品がセール中であることを伝えたい場合、その画像が他の商品と同じようなものであっても、その商品のみを太字にすることで強調できます。しかし、強調する商品を増やし過ぎると、逆に太字にされていない商品が目立ってしまうかもしれません。「強調」のコントラストとバランスが重要なのです。
法則8:「ピークエンドの法則」by Daniel Kahneman(1993)
私たちは自らの経験を、自分自身の過去の経験のピーク時と終了時にどのように感じたかにもとづいて判定しているという法則です。
ユーザーがプロダクトやサービスを再利用するか、またはほかの人に薦めるかどうかは、彼らがその経験をどのように思い出すかによって決まります。ピーク以外の情報は保持されますが、比較には使われません。また、全体的な出来事よりも感情のピーク時と終了時に感じたことの平均にもとづいているため、これらの瞬間で印象に残ることが重要です。そしてその判断には、喜びや悲しみの総量、そしてその経験がどれだけ持続したかも含まれます。
これらの重要な瞬間に焦点を当てることで、ユーザーはポジティブに体験を記憶し、その結果としてプロダクトやサービスに好意的な印象を持つでしょう。逆に言えば、「ピーク」でも「エンド」でもないできごとは、全体的な印象にほとんど影響を及ぼさないのです。
ピーク・エンドの法則の活用と効果
デザインやサービス戦略を構築する際、ピーク時と終了時を意識することが重要です。ユーザーがサービスや商品を体験するとき、感情のピーク時と終了時に良い印象を与えることができれば、そのサービスや商品は“良いもの”として記憶されます。途中でネガティブな印象を持たれたとしても、ピーク時と終了時でなければ体験全体としてはマイナスなイメージにはつながりません。
これらをふまえ改善を行うのであれば
- ピーク時により良いイメージを与えるように努めること
- ユーザーがネガティブな印象を持ったピーク部分を特定し、マイナス要素を軽減させる
といった対策を行うことで、サービス全体のイメージを向上させることができるでしょう。