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第107号(2024年11月号)
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有園が訊く!

サム・アルトマン氏「Worldプロジェクト」の全貌/AIが普及した世界にIDがなぜ必要なのか

悪質な広告の対策にもIDが不可欠

有園:全世界の人にIDを配布している国や機関はないため、その仕組みを開発し、普及させようとしているのですね。この取り組みは、マーケティング業界の課題にも大きく関わると考えています。

 アドフラウドと呼ばれる、ボットのアクセスで広告インプレッションを発生させる悪質な手法や、広告のためだけに作られたMFA(Made-for-Advertising)と呼ばれるWebサイトが氾濫しています。また、AI技術の発展によって、AIが商品を購入したり、ボットによるアクセスを遮断するためのreCAPTCHA(リキャプチャ)を突破したりする事態も起こり始めています。

 今後、AIがお互いにやりとりをして、人間の代わりにアクションする時代になると、アカウントが本当に人間なのか判断する術が必要になります。「ヒューマン・ベリフィケーション(Human Verification)」が求められるのです。AIが普及した世界をイメージすると、やはりIDを整備しないと成り立たないと思います。

 Tools for Humanityは、マーケティング領域では博報堂との提携も発表しました。博報堂は、日本におけるWorld IDのサービス拡大に取り組むそうですね。

牧野:このプロジェクトのきっかけはユニバーサルベーシックインカムでしたが、マーケティング領域の問題のように、「AIの普及によるリスクにどう対処していくか」「IDをどんな場面で活用できるか」という議論へと広がってきています。

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏

マネタイズの仕組みはない

有園:インフラとしてWorld IDを普及させていくというお話でしたが、ビジネスとしてはどう考えているのですか。

牧野:そもそもインフラを世の中に提供するために始まったプロジェクトであるため、マネタイズの仕組みはありません。人間であることを証明するデジタルIDと金融のネットワークを構築し、世界中の人々にその所有権を提供するという考え方です。

 Worldcoinは、すべての人々がグローバルなデジタル経済にアクセスするための公平な方法と考えていて、World Networkに参加したすべてのユーザーは、利用可能な国では無料でWorldcoinを受け取ることができます。

有園:必要な資金はどのように得ているのですか。

牧野:ベンチャーキャピタルと投資家の出資で成り立っています。将来的に運営会社がなくなれば、運営の発言権はトークンをもっている人たちになります。

有園:普及させるためのハードルは何でしょうか。

牧野:人間であることを証明する認証サービスへのアクセスや、認証するためのOrbへのアクセスが課題だと考えています。現在、日本にはOrbの設置場所がまだ50ヵ所しかなく、もっと増やしていかなくてはいけません。

有園:牧野さんはかつてGoogle日本法人やTwitter Japanでも活躍し、YouTubeやTwitter(現・X)など、新しいサービスを日本で広めた実績があります。

牧野:世の中の人たちに対して、新しいサービスをわかりやすく翻訳して、使い方を広めるのが自分の役割だと思っています。

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IDの整備は、AI普及のための必要コスト

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/12/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47253

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