外飲みトレンドも「ビール」から「サワー」へ
続いて、今度は「外飲み(お店)」について見ていきます。
20代が普段お店で飲んでいるお酒について、2023年の調査結果を見てみると、69.8%が「サワー・チューハイ」と回答し、家飲みと同じく1位という結果になりました。10年前の2013年と比較して見ると、当時はビールが1位となっており、この10年で逆転された結果となっています。家飲みと同じく、ビールからサワーにシフトする動きが見られました(図表4)。

(データ)インテージSCI Profiler 2013年・2023年 対象者:男女20~29歳(クリックすると拡大します)
「とりあえずビール」からの変化
お酒の飲み方についてもう少し掘り下げて、今度はお店で飲む最初の1杯についても見てみましょう。
飲み会の最初の1杯と言えば「とりあえずビール」というイメージですが、実際に2023年の調査結果を見てみると、全体(20~60代)ではビールが7割以上を占めています。
一方、20代を見ると、割合としてはやはりビールが最も高いものの、2013年から減少傾向となっており、2023年では44.3%と過半数を下回っている状況です(図表5)。
また全体(20~60代)と比較するとお酒の種類が分散している印象があり、飲み会の最初に「とりあえず〇〇を人数分」という注文の仕方が少なくなっていることが伺えます。

(データ)インテージSCI Profiler 2013年・2023年、対象者:男女20~69歳(クリックすると拡大します)
先ほどの家飲みのデータと総合して考えてみます。
2013年の20代は、家飲みの1位がサワー・チューハイ、外飲みの1位がビールという結果でした。家飲みと外飲みとで1位が異なることから推察するに、当時の20代は自宅・お店といったシーンごとに飲むお酒を変えていたことが伺えます。
一方で2023年の20代は、家飲み・外飲みの1位ともにサワー・チューハイと一致していることから、飲用シーンに関わらず、自分の飲みたいお酒を飲んでいる印象を受けました。また、お店での最初の1杯として「とりあえずビール」の割合が減少していることから、最初から飲みたいお酒を自由に注文しやすい風潮がより広がっていると見ることができそうです。近年では「多様性」の考えが進んでいるほか、「アルハラ(アルコールハラスメント)」といったお酒のある場面での迷惑行為も学校や職場でも広く注意喚起されていることもあり、こうした変化に繋がっていると考えられます。
実際の購買量から見る、20代のお酒トレンド
20代が飲んでいるお酒について、今度は実際の購買量から変化を見ていきたいと思います。
2013年から2023年の購入容量の年平均成長率(CAGR)を見てみると、「ウイスキー」「チューハイ(中)」「チューハイ(ストロング)」「ハイボール」で拡大傾向が見られます。中でも、この10年で定番となったハイボールは18.1%と高い成長率となっています。
一方で、「チューハイ(ストロング)」(アルコール度数7%以上)については、2013年から2020年にかけては大きく成長していたものの、2021年以降は縮小傾向に転じています。直近では厚生労働省が適正な飲酒に関するガイドラインを発表したこともあり、今後のチューハイ市場の成長は中アルコールがけん引していくことになりそうです(図表6)。

(データ)インテージ SCI(20-29歳)カテゴリー:アルコール市場 期間:2013年~2023年(各年4-3月)
※チューハイはアルコール度数により3カテゴリーに区分(1)チューハイ(低):~3%台/(2)チューハイ(中):4~6%台/(3)チューハイ(ストロング):7%台~(クリックすると拡大します)