量も質も最適化へ。購買データの「広範さ」「一般性」「自由度」が選ぶ基準に
フェズでは、先述の三つの領域を支えるソリューションとして、国内最大級のリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」を展開している。今回はリーチの最適化にフォーカスした「Urumo Ads(ウルモ アズ)」の活用事例が紹介された。

購買データを活用するデジタル広告配信ソリューション「Urumo Ads」は、主に「ターゲティング精度の向上」と「購買効果の可視化」を実現。従来のメディア・ターゲティングの購買検証から、購買履歴に基づくピンポイントの広告配信まで、幅広い用途に対応するほか、事前に高い親和性を持つセグメントを分析・特定することで、リーチの最適化を実現できる。これにより、従来のリテールメディアが直面していた規模の確保という課題を解決しつつ、同時に広告配信の質的向上も達成することが可能となっている。
システムの基盤となっているのは、全国13流通1,100万人を超える分のIDと購買データだ。これらのデータを外部メディアと突合させることで、高精度なターゲティングと効果測定を実現している。
根津氏によると、「Urumo Ads」を選んだ企業の多くはその理由として主に次の三つを挙げる。まず、全国47都道府県をカバーする13流通の広範なデータベースを有していること。そして、経済産業省が発表している消費財領域における売上構成比と近似する一般性の高いデータを保持していること。最後に、第三者提供の許諾を得た高精度かつ自由度の高いデータを活用できることである。

ブランドリフト単価が従来比55%減 “購買親和性”を数値化
根津氏は、ある食品企業の活用事例を語った。同社では、購買層が広範であるため、効果的なターゲティングが課題となっており、そこで「Urumo Ads」を活用することにしたという。
「Urumo Ads」のターゲティングは、購買データに基づいてピンポイントに配信する「購買ターゲティング」、購買データと媒体データを掛け合わせた「類似オーディエンス」、そして後述する特許技術を用いた「セグメントファインダー」の3種類となっている。

同社では、通常の広告配信に、購買ターゲティング、セグメントファインダーの配信を加えた3種類を同時に実施することに。併せて行ったブランドリフト調査で比較検証したところ、通常配信を基準値100とした場合のブランドリフト単価指数がセグメントファインダーでは55%削減と、大幅な効率改善を実現した。

セグメントファインダーの仕組みについて、根津氏は次のように説明する。
「セグメントファインダーは、GoogleやSmartNewsなどのメディアプラットフォームが持つターゲティングデータと『Urumo Ads』の購買データを突合させることで、広告配信前に各ターゲティングセグメントの購買との相関を分析し、最も効率的なセグメントを特定できます。つまり、リーチの質と量を両立できるのです」(根津氏)
セグメントファインダーを活用すれば、施策の目的に応じて、下図に挙げられているような各セグメントの“購買親和性”を数値化。配信すべき/除外すべきセグメントが可視化され、購買親和性の高いユーザーへの配信が可能になる。これにより、広告視聴率の向上、配信単価の低減、リーチの拡大が実現し、認知指標から購買指標まで、包括的な効果向上が期待できるという。

「私はプロテイン愛飲者であるため、プロテインの広告を目にすれば気になり視聴します。一方、興味のない商材、たとえば女性向けのスキンケア商材などの広告を目にしても自分ごと化して見ようとは思いません。購買親和性の高い人に配信すれば視聴率が良くなることは自然な流れです」(根津氏)