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販売量が半年で8.5倍に。Heineken0.0に学ぶ、ニーズを捉えたプロモーション設計の方法

販売量が半年で8.5倍に!Heineken0.0の現在

 では、これらの施策を重ねた結果、Heineken0.0は日本市場においてどのような成果を出すことに成功したのだろうか? 須田氏は、日本市場での発売から約1年が経過した同製品の現状について語った。

「2024年に入ってから販売量が右肩あがりに上昇しており、7月には1月比の8.5倍にまで達しました。また、ハイネケンオリジナルの販売量に対する割合を見ても、まだローンチしてから1年しか経っていないにも関わらず、10~20%の販売量を占めるほどにまで成長しています」(須田氏)

 ここまで万事順調に見えるHeineken0.0だが、この1年間を振り返ると反省点もあったと須田氏は語る。

 その一つが「サイズの問題」だ。日本での発売開始当初、同社では「スリーク缶」と呼ばれる背の高い缶のみを扱っていた。しかし、その缶だとコンビニの商品棚に陳列できず、半年間ほどは販売チャネルが限定されてしまったという。

 このように、新市場で販売を開始する際には、その市場の特性や各チャネルでの規制などを丁寧に調べる必要があったと須田氏は語った。

 また、Heineken0.0のコミュニケーションに注力してきたにもかかわらず、ハイネケンオリジナルへの波及効果が限定的であることも反省点として挙げた。

 今後は、ハイネケンオリジナルとHeineken0.0の両輪で、ブランド全体の価値強化に向け、プロモーションに一層注力していくと須田氏は強調した。

ビールブランドがスマホを作った理由

 次に須田氏は、ハイネケンが2024年4月からグローバルで開始している取り組みである「The Boring Phone(退屈な電話)」について紹介した。

 同製品は、ハイネケンがアメリカ発のファッションブランド「Bodega」とタッグを組み、Nokiaを手掛けるフィンランドのスマホメーカー「HMD Global」との共同開発によって作り出された携帯電話だ。搭載されているのは、通話やメールなどの基本的な機能のみで、SNSやアプリなどのダウンロードを行うことはできない。

 ビールメーカーであるハイネケンが携帯電話の開発を手がけた理由を須田氏は次のように語った。

「現在、世界中の人々がデジタルオーバーロード(デジタル情報過多)という問題を抱えています。実際、弊社が日本で行った調査でも、『友人や家族と一緒にいる時間に、習慣的にスマホをチェックしてしまう』と答えた人は8割以上でした。そしてこれらの4割以上の人々がいわゆる“スマホ中毒な状態”を脱したいと思っているのが現状です。そこで、このThe Boring Phoneの提供を通して『目の前の人とのリアルな時間を充実させる』ことを提案する目的で開発を行いました」(須田氏)

 ハイネケンは、このThe Bording Phoneを通して、まさに同ブランドが掲げる「ビールを売るな。楽しい時間を売れ」のモットーを反映しているのだと須田氏は強調した。

日本では、The Bording Phone本体の入手はできないが、2024年の10月にアプリ版をリリース。同アプリ上で、「Boring Mode」をオンにすることで、ついつい使いすぎてしまうアプリからの通知をブロックできる

 最後に須田氏はこの1年間の同社での取り組みを振り返り、成功する上での要素を次のようにまとめセッションを締めくくった。

「限られる予算の中で新市場へのプロモーションを行うには、既存のアセットやアイデアを活用することが重要です。それらをベースにしつつ、市場に合わせてローカライズすることで、各市場の消費者に商品の魅力が伝わるように工夫する必要があります。また、ハイネケンのマーケティングの肝になっているのが『商品特性を超えた社会的コンテクストを作ること』です。今後も、社会的コンテクストの創出を意識しながら、新たなファンを生み出していきたいと考えています」(須田氏)

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/26 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47502

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