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生成AI×専門部隊により、勝ちクリエイティブを量産!SBC湘南美容クリニックのMeta広告活用

 美容クリニック最大手である「SBC湘南美容クリニック」。近年の美容医療市場の成長にともない、競合他社の出稿量も増加し、市場全体のCPA高騰とクリエイティブの差別化に悩んでいたという。そんなSBC湘南美容クリニックの課題に取り組むのが、同社のMeta広告活用を支援するセプテーニ社だ。質の高いクリエイティブの量産を実現した方法とは? 両社の取り組みから、Meta広告活用のヒントを探る。

競争が激化する、美容医療市場

MarkeZine編集部(以下、MZ):近年、美容医療市場は拡大を続けています。その中で、SBC湘南美容クリニックの特徴や強みについて教えていただけますか?

若林(SBC湘南美容クリニック):美容医療の市場では、特定の治療やターゲットに特化したクリニックが増加傾向にあります。そのような中、SBC湘南美容クリニックの特徴としては、美容外科、美容皮膚科、医療脱毛、美容歯科、AGA、不妊治療など、多岐にわたる診療科目を総合的に全国展開していることが挙げられます。また、価格帯も、手軽に実施しやすいメニューから高額治療まで幅広く展開しており、老若男女問わず、様々なニーズに対応しています。

SBCマーケティング株式会社 マーケティング部 医療マーケティンググループ 第一カテゴリー グループ長 若林さとみ氏
SBCマーケティング株式会社
マーケティング部 医療マーケティンググループ 第一カテゴリー グループ長 若林さとみ氏

MZ:マーケティング部門では、どのようなミッションのもと施策を展開されているのでしょうか?

若林:日本における美容医療の浸透率は人口の5%未満とされています。若い世代には身近になりつつあるものの、まだ市民権を得ているとは言えない状況です。このような環境下で、私たちのマーケティングミッションは、持続的な成長システムの構築にあります。

 今回、主にお話しさせていただく「二重整形」に関して申し上げますと、埋没法と呼ばれる施術は、初めての美容外科治療として選ばれることが非常に多い傾向にあります。当院に来院いただく患者様のうち、約20パーセントが初めての美容外科治療を受けられますが、そのうちの半数が埋没法をお選びになっています。市場調査によると、二重整形患者の2.5人に1人が当院を選択され、業界トップの患者数を誇っています。一方で、美容医療市場の拡大にともない、競合クリニックの開業も増加傾向にあり、広告費も年々増加している状況です。

 そのため、マインドシェアを維持しながら、SBC湘南美容クリニックが二重整形において第一想起であり続け、さらに患者様から継続的に選ばれる医療機関となることを目指してマーケティング施策を実行しています。

Meta広告は美容医療と好相性、ただしクリエイティブの課題も

MZ:SBC湘南美容外科クリニックではテレビCMなども大々的に展開されていますが、その中でMeta広告はどのような位置づけで展開されていますか?

若林:当社では、競合クリニックが急増している競争環境の中で、ターゲット層への効果的なアプローチができるSNSを重要な媒体と捉えています。中でもMeta広告は検索広告に次ぐ重要な広告媒体と位置づけています。Metaプラットフォームの特徴として、ユーザーは比較的時間に余裕のある状態で閲覧している傾向があり、このような閲覧タイミングでの広告展開が可能である点が大きな強みとなっています。

 加えて、特にInstagramはキラキラした投稿が多く見られることから、美容への関心を高めやすい媒体であると考えられます。フォロワーのコンテンツを閲覧する中で美容医療の広告が表示されても、ユーザーは広告と認識しながらも自然な形で受け入れやすい環境が整っていると思います。

濱田(SBC湘南美容クリニック):ただし、このような特性から、競合他社もMetaでのディスプレイ広告を積極的に展開しています。そのため、クリエイティブの量と質の維持が課題となっていました。

 たとえば、同じクリエイティブばかり使っていると、摩耗スピードが早く、CPAが高騰しやすくなる傾向があります。また、美容医療業界では「こんな風に変われるんだ!」というのをクリエイティブで伝えることが重要ですが、フリー素材では一重から二重に変わる変化を伝えるのが難しく、また他社と同じモデルを使用することで似通ったクリエイティブになってしまう状況に陥ることもありました。

生成AI×専門部隊により、量と質の両方をカバー

MZ:セプテーニは、SBC湘南美容クリニックの二重整形領域におけるWeb広告全体の予算を預かって運用していると伺っています。Metaのマーケティングサイエンス認定企業として、SBC湘南美容クリニックが抱える課題を解決するために、どのようなことが重要になってくるとお考えですか。

大森(セプテーニ):クリエイティブに関しては、あらゆるフォーマットの網羅的な活用による幅広いユーザーへの配信が基本ですが、その中でも近年は縦型動画フォーマットの活用が必須です。特に重要なのはストーリーズなどで配信されるUGC(User Generated Contents)形式の動画広告であり、一般ユーザーの投稿を見る流れで違和感なくアプローチすることが可能です。しかし、UGC形式の動画制作には多くの工数と時間を要します。

Septeni Japan株式会社 第1営業領域 第2営業部 課長 大森慧史氏
Septeni Japan株式会社 第1営業領域 第2営業部 課長 大森慧史氏

田(セプテーニ):そこでセプテーニでは、次のように量と質の両方を叶える制作を進めています。

量的な観点

1. 制作の仕組み化
 クリエイティブ制作専門のグループ会社と連携し、1本の縦型動画から複数のバリエーションを効率的に制作する体制を構築。冒頭部分やナレーションなど、ブラッシュアップによる影響の大きい変数をパターン化することで、短期間での大量制作を実現している。具体的には、1週間に30パターン以上のクリエイティブを手がけている。

2. AI活用による最適化
 セプテーニ独自のAIクリエイティブソリューションツール「Odd-AI」を活用し、バナーの効果改善要因の可視化や事前効果予測を実施。AIによる客観的判断と、人によるデザイン品質管理やアイディア発想を掛け合わせることで、より再現性とヒット率の高いクリエイティブ制作が可能となっている。

質的な観点

1. 専門組織との連携
 セプテーニの強みであるショートドラマ事業の制作ノウハウを獲得領域にも生かすべく、2024年7月に発足したショート動画開発部との協力体制を強化。同部署が持つノウハウと、美容医療に特化したディレクターの専門知識を組み合わせることで、より効率的なCPAを実現できる動画制作を研究・実践している。

2. 生成AI技術の活用
 生成AIを活用することで、理想的なビジュアル表現の実現や、広告審査基準に則った細かな調整が可能。また、素材サイトでは入手困難な特定のシチュエーションや表現の創出も可能となり、クリエイティブの多様性向上と競合との差別化を実現している。

田:これらの取り組みにより、安定的な広告配信と、競合他社との差別化を図っています。

Septeni Japan株式会社 パフォーマンスクリエイティブ領域 第1クリエイティブプランニング部 クリエイティブディレクター 田賢真氏
Septeni Japan株式会社 パフォーマンスクリエイティブ領域 第1クリエイティブプランニング部 クリエイティブディレクター 田賢真氏

平均値比1.32倍と高いCTRを実現

MZ:実際にSBC湘南美容クリニックでは、どのようにMeta広告を展開されているのでしょうか?

田:先述の量と質を両立する体制をもとに行っている施策を、具体的な成果を交えながら説明します。まず、ショート動画開発部とは2024年7月から連携を開始し、既に顕著な成果が現れています。同部隊と共同制作した動画コンテンツは、それ以外の動画コンテンツの平均CTRと比較して1.32倍という高いパフォーマンスを示しており、専門部隊との協業が効果的であることが実証されています。

 また、AI技術は、バナーやLP制作にまで活用しており、着実な進展が見られます。現在、Meta上で配信している人物モデルを使用した広告クリエイティブの7割以上が生成AIによる素材を採用しています。

画像を説明するテキストなくても可
生成AIを活用したクリエイティブ例

神尾(セプテーニ):運用においては、現在、Meta広告の「Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)」を主軸としています。従来は興味関心層(例:美容愛好者、料理愛好者など)に絞った配信を中心としていましたが、ASCではより広範なユーザー層に配信しつつ、Metaの機械学習により、商品との親和性が高いユーザーを自動的に選定する仕組みとなっています。

Septeni Japan株式会社 第1営業領域 第2営業部 パフォーマンスリード 神尾あかり氏
Septeni Japan株式会社 第1営業領域 第2営業部 パフォーマンスリード 神尾あかり氏

神尾:また、従来の手法では一つのグループ内で数本程度の広告を手動で配信・検証していましたが、ASCでは、その仕様の特徴から、多くの広告を一斉に配信・検証することが可能です。配信した中で、媒体システムが効果的と判断した広告に対して、自動的に配信量を増加させていく仕組みとなっています。

 縦型をはじめとする多様な広告フォーマットを、媒体の機械学習や仕様がアップデートされたASCにて配信した結果、定常的に勝ちクリエイティブを見出すことに成功しました。単一フォーマットの広告に依存するのではなく、複数の強力な柱となる広告が並立する安定的な運用につながっています。

クリエイティブの幅を広げながら、CPAを大幅改善

MZ:SBCは、今回のセプテーニのクリエイティブ×運用面における支援をどのように評価されていますか?

濱田:競合環境の激化にともないCPAが上昇する時期がありましたが、クリエイティブの本数増加や活用可能な素材の質向上により、最近では大幅な改善傾向にあります。また、これまでにない新たな訴求ポイントの発掘にも成功しています。

 AIを活用することで、感覚的に「効果が期待できる」と考えていた表現とはまったく異なるクリエイティブが成功を収めるケースも増えています。LPについても、長期間にわたって同一デザインが優位性を保っていた状況から、新しいデザインへの転換が効率を損なうことなく実現できるようになっています。さらに、テレビCMと連動したデザイン展開においても、CM放映期間中の効率向上が確認されるなど、多様な施策での成果が現れています。

大山(SBC湘南美容クリニック):クリエイティブ面での具体的な変化として特筆すべきは、カラーバリエーションの拡大です。迅速な検証が可能になったことで、これまでは採用を躊躇していた暗色や寒色系のデザインなど、従来の定説にとらわれない挑戦的な表現が効果を上げています。

 人間の直感や想定だけでは見出せなかった新しいクリエイティブの可能性が、AIの客観的な分析によって発見できることがわかりました。クリエイティブの幅が大きく広がっていると感じます。

SBCマーケティング株式会社 マーケティング部 医療マーケティンググループ 第一カテゴリー 大山美晴氏
SBCマーケティング株式会社 マーケティング部 医療マーケティンググループ 第一カテゴリー 大山美春氏

若林:大規模な広告運用において、二重整形をはじめとする多岐にわたる施術のクリエイティブを継続して制作・展開することは難しいことです。しかし、セプテーニ様には常に変化し続ける環境に柔軟に対応していただいていることを実感しています。

 また、グループ会社の強みを活かし、新しい領域においても、各社の専門性を効果的に組み合わせた提案をいただいています。その結果として、クリエイティブの幅を広げながらも、CPAの改善という具体的な成果も実現できています。

美容医療のリブランディングへ挑戦

MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。

若林:美容医療業界の競争環境は、新規参入業者の増加や、コロナ禍の収束にともなう韓国美容医療へのアクセス改善により、一層の激化を見せています。また市場拡大にともない、業界全体が価格競争に陥りがちな状況となっています。このような環境下で、業界No.1として美容医療のリブランディングが必要な時期に来ていると認識しています。

濱田:こうした中、SBC湘南美容クリニックは、二重整形の価格帯とメニューを刷新しました。当院の品質重視の姿勢と誠実さを反映した内容となっています。

 美容医療に関する情報があふれている昨今の状況では、価格のみに左右されない選択をしていただくことが重要だと考えています。そのため、多角的な訴求ポイントの提示や充実した保証制度、当院の強みとなる要素の明確な発信、そして洗練されたデザインによるクリエイティブ展開を通じて、皆様に適切な判断材料を提供し、当院を選択していただけるような訴求を目指しています。

田:SBC湘南美容クリニック様の描く将来像を実現するために、単なる価格競争を超えた質の高さを顧客へ確実に伝えていくことが重要なミッションとなっています。“伝わるクリエイティブ”を生み出していくために、人間のディレクターとAIが効果的にタッグを組んだ広告制作体制の強化を目指しています。現在も認知領域など一部で実施している実写の人物アバター生成やAIによる動画生成の取り組みを、獲得施策の領域にも拡大していく予定です。

大森:Metaプラットフォームの特性を活かしながら、一人ひとりのユーザーに合わせて訴求を最適化し、ユーザーに価格以外の価値(「高品質」「大手クリニックの安心感・信頼感」「保証制度の充実」など)も理解してもらうことで、SBC湘南美容クリニック様に対するポジティブな感情を喚起し、ブランド価値向上に繋げ、SBC湘南美容クリニック様独自のブランド世界観の構築を支援していきたいと思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Facebook Japan G.K.

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47587