400万人超の会員が振り分けられる五つのランク
──ほかに松屋フーズ公式アプリならではの特徴はありますか?
ランク制を導入している点が特徴です。お客様が当月に利用した金額に応じて、翌月のランクが「レギュラー」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」のいずれかに決まります。ランクと注文形式によって松屋ポイントの付与率が異なり、プラチナランクでモバイルオーダーを利用したお客様には5%、松弁ネットを利用したお客様には12%の松屋ポイントを付与しています。
──なぜモバイルオーダーより松弁ネットのポイント付与率が高いのでしょうか?
混雑時にモバイルオーダーの注文が入ると、商品の出来上がりまでお客様をお待たせしてしまうため、券売機に並んで注文した場合と体験がさほど変わりません。その点、松弁ネットは注文時に受け取り時間をお客様が指定するため、商品の受け渡しでお待たせすることがなくなり、従業員の時間にも余裕が生まれます。享受できるメリットが大きい松弁ネットの付与率を高くしているわけです。
──どのような方が公式アプリを利用していますか?
日頃からキャッシュレス決済を利用されている方が、公式アプリを利用してくださっています。年代を見ると30~50代の層が厚いです。全体的に男性の比率が高いものの、松弁ネットを利用する女性のお客様も少なくありません。平日の昼間はモバイルオーダーで注文しているビジネスパーソンが、貯まった松屋ポイントを使って週末にご家族の分を松弁ネットで注文する、という動きも見られます。アプリのダウンロード数は650万に到達し、会員数は400万人を超えています(2025年3月時点)。
アプリ会員データの活用はこれから
──アプリのリリース時期を教えてください。
2011年です。当時のアプリには注文機能が存在せず、クーポンの配布や商品説明の場として機能していました。2016年に注文機能を実装し、2018年に松屋ポイントの仕組みをスタート、2022年のアプリリニューアルにともなってランク制を導入した流れです。
──アプリリニューアルを機に、スクラッチ開発へと切り替えたそうですね。
はい。元々は既存のアプリプラットフォームを活用していましたが、当社の要望を機能として実装するのに時間を要したり、望んでいた機能を思うように実現できなかったりしたため、スクラッチ開発に切り替えました。
──アプリを通じて収集したデータを、マーケティングへどのように活用していますか?
券売機で取得するdポイントの会員データを活用できるため、アプリ会員の情報を基にした分析はこれまで実行できていませんでした。最近は徐々にアプリ会員のデータも活用し始めているところです。
1ヵ月に一度、dポイントの会員情報に加えてアプリや券売機から収集した商品のリピート率や利用者の男女比率など、あらゆるデータをまとめた資料が関係部署に共有されるんです。最近はそちらを基に顧客分析を行っています。様々なデータを掛け合わせることで、現金しか使わない方やアプリの事前決済しか利用しない方など、多様なペルソナを深掘りしています。
