サウンドロゴの知名度は高いものの、特徴を伝えきれていない
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに自己紹介をお願いします。
中島:ほけんの窓口グループ(以下、ほけんの窓口)の新規来店者数の増加をミッションに、テレビCMやネット広告、Webサイト、SNSなどマーケティング領域全般を担当しています。
MZ:ほけんの窓口のマーケティング全体における、テレビCMの役割や位置づけをお聞かせください。
中島:テレビCMの役割は店舗へのご来店者数増加につなげることであり、マーケティング部のミッションと直結しています。テレビCMでほけんの窓口を知ってもらい、指名検索をしてWebサイトから来店予約につなげる、というジャーニーをいかに作れるかを重視しています。
普段の生活の中で、保険について考える人はほとんどいないでしょう。ほけんの窓口のことについて意識する時間は、なおさらないと思います。だからこそ、テレビCMを通してほけんの窓口を認知してもらい、保険について考えるタイミングで当社を第一想起してもらえる状況の創出こそが重要だと考えます。
MZ:テレビCMのサウンドロゴは広く認知されていますよね。第一想起という目的は、テレビCM施策をはじめた当初から現在まで変わらないのでしょうか。
中島:テレビCMや全国に650以上展開しているリアル店舗によって、当社の名前を知っている方は多いと思います。しかし、「ほけんの窓口で具体的に何ができるのか」「どのようなメリットがあるのか」といった特徴や強みについては、十分に知られていないのが現状です。
たとえば、従来の保険代理店の「一社専属・訪問販売」の形態とは異なり、40社以上の保険会社・300以上の商品を取り扱っており複数の保険商品を比較検討できることや、来店型なのでお客様の都合に合わせて相談できることなどが当社の強みです。このようなほけんの窓口ならではの価値を、テレビCMを起点に伝えていきたいと考えています。
「保険を勉強しに行く場所」へ方針を転換し、全社一丸で挑んだリブランディング
MZ:ほけんの窓口では2022年に大規模なリブランディングを行い、その一環としてテレビCMを用いたプロモーションを実施されました。まず、リブランディング施策の概要についてご紹介ください。
中島:ほけんの窓口では、店舗を「保険商品を選びに行く場所」から「保険を勉強しに行く場所」というコンセプトへ変更する形でリブランディングを実施しました。
背景として、コロナ禍で外出自粛ムードが高まる中、対面型の保険相談サービスを提供していた当社は大打撃を受けたことが挙げられます。新規来店者数の減少は事業継続に関わる重要な課題です。
そこで、「お客様に安心して来店してもらうにはどうすれば良いか」「真に役立つサービスを提供するにはどうすれば良いか」という課題意識のもと、N1インタビューやデプスインタビューを実施。ほけんの窓口への期待や、保険に対するイメージを調査しました。
その結果わかったのは、多くのお客様が「保険加入は面倒くさい」とネガティブに感じていることです。保険が必要になるのは、病気や怪我、あるいは家族がそのような状況になったタイミングです。
しかし、そうした経験がない方にとっては保険について考えること自体が心理的なハードルとなり、保険の必要性や当社で保険契約のお手伝いができることを論理的に説明しても響きません。そこで、お客様が気軽に来店し保険について学べる場所として、店舗の役割を「保険を学ぶ場所」へと転換したのです。テレビCMではタレントのアン ミカさんを起用し、「保険、勉強しに行こか。」をキャッチフレーズに展開。買い物ついでに立ち寄れる店舗作りを進めました。
このリブランディングは、全社を挙げた一大プロジェクトでした。N1インタビューには社長や役員、他部署のメンバーにも参加してもらい、お客様のインサイトを共有しました。テレビCMの制作プロセスも全社で共有することを意識し、以前はマーケティング部のみで行っていた撮影にも、他部署や店舗のメンバーを招待するようにしました。