「堅そうな会社」のイメージを、いい意味で緩める
──TikTokアカウントを運用してから、若年層からの反応に変化は見られますか?
コメントでは、「ヤンマーってお堅い会社だと思っていたけど、意外とフランクなんですね」といった反応をもらいます。産業機械を製造している会社で、歴史も長いので、「お堅い会社」といった漠然としたイメージを持っている方もいるようです。そのイメージを壊して、いい意味でゆるい雰囲気が伝わっているのは、TikTokの効果だと思います。
──SNSを通した若年層とのコミュニケーションで、大事にしていることを教えてください。
動画の中での言葉遣いは意識していますね。大阪の企業なので、ほとんどのコンテンツであえて関西弁を使っています。また、風通しのよい社風がしっかりと伝わるように工夫しています。
──TikTokを運用していく過程で、御社としてはどんな発見や変化がありましたか?
TikTokを始めたばかりの頃は、FacebookやXの運用の癖が抜けず、「ヤンマーとして伝えたいこと」を押し出すコンテンツが多くありました。しかし、運用していくうちにヤンマーとは関連性の低いエンタメコンテンツでも、再生回数が伸びれば認知向上に貢献するということが実感できるようになりました。
たとえば、社員がダンスしているだけの動画でも、社員同士の仲の良さや、ユニフォームにデザインされたヤンマーのロゴを認知してもらえます。必ずしも深いメッセージを伝えなくてもいい。コンテンツ自体のおもしろさを追求して、それを見た人が「どこの会社だろう?」と知りたくなるという導線が理想だという考え方に、シフトしていきました。
「ヤンマーファンを増やすこと」を目指す
──今後は、SNSを通して若年層へどのようなアプローチを目指していく予定ですか?
ヤンマーの「ファン」を増やしていきたいです。ヤンマーと接点のないユーザーにも、ライトにアプローチできることがSNSの魅力だと考えています。
これまでのTikTokの運用で、たった一つでもZ世代にピタリとはまるコンテンツがあれば、多くのユーザーにリーチできることを強く実感しています。そのため、これまで以上に「Z世代が求めていること」にアンテナを張り、“ヤンマーらしさ”を交えながら発信していきたいです。
そうしたコンテンツを通して、ヤンマーの魅力を少しでも感じてもらえれば、ヤンマーのファンになっていただけますし、長い目で見れば採用活動にも貢献できると考えています。
──最後に、これからTikTokなどで若年層にアプローチしようと考えているBtoB企業に向けて、アドバイスをいただけますか。
「ターゲットが何を求めているか」を最優先に考え、コンテンツを生み出すことが重要だと思います。
企画を検討する際、どうしても企業が発信したい情報をメインとして考えがちになりますが、あえて企業色を抑えることで、多くのユーザーにリーチできる可能性が高まります。そのため、適度にトレンドやエンタメ要素も交えながら発信することもポイントだと思います。