SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

ブランドが嘘つきと思われないために。事例に見る「代替的事実」時代のブランディング

「中立的な第三者」の事例 Yuka Appsのスコアリング

画像を説明するテキストなくても可
米Yukaの公式Instagramアカウントが投稿した動画より

 Yukaは、2017年にフランスでリリースされた、プロダクトスキャンを行うアプリです。動画にあるように、スマートフォンで食品やパーソナルケア商品のバーコードをスキャンすることで、その商品の健康へのインパクトを知れます。たとえば食品の場合、その栄養素であったり、食品添加物の含有量、有機食品に該当するかなどの情報を教えてくれます。健康への配慮の度合いを0~100の間でスコアリングし、仮にその商品が健康上お勧めできない場合は、代替商品を提案するというものです。

 Yukaの大きな特徴は、公平な情報を提供するために独立性を保っていることです。広告サービスは行っておらず、ユーザーからのサブスクリプション料金を資金にアプリを運営。経済的な中立性を担保していることから、使用者からの信頼は強く、若年層を中心に広まり、サービスが提供される国も欧州の各国や米国へと拡大しています。

 生活者の意識を見ても、第三者からの評価に対するニーズの高さを伺い知れます。特に中立性が高いほど信頼度は高くなるようで、Yukaのように、ブランド側がコントロールできない評価者から得ている方法は、そうでないものより信用ができると考えられています。

画像を説明するテキストなくても可

 また近年は、ブランド側から、第三者機関に評価をお願いする、という流れも増えてきました

 Beluはイギリスに本社を置く、ミネラルウォーターと、濾過システムを販売するソーシャル・エンタープライズ(事業利益の追求ではなく社会的な問題解決を目指す企業)なのですが、Provenanceという非営利団体に、活動評価をお願いしていることで知られています。

画像を説明するテキストなくても可
Provenance公式サイトに掲載されているBeluのケーススタディより

 近年、実際は環境に配慮していないにも関わらず、表面的には「エコ」を装ったブランディングは「グリーンウォッシュ」(上辺だけの環境訴求)と呼ばれるようになり、厳しい目が向けられています。そうした背景から、Beluのような社会的企業であっても、自身の活動の透明性をアピールする必要がありました。

 評価パートナーに選んだProvenanceは、ブロックチェーンを活用した中立性の高い評価の仕組みを採用しており、信頼性の高い第三者からの情報を公開することで、Beluは社会的企業として強固なブランドポジションを確立しています。

 意図的に作られた評価ではなく、本当に中立性の高い第三者からの評価を得ることが、今後ブランドが信頼を高めるために改めて重要なポイントになってきそうです。

「専門家による評価」の事例 HEINZ – Unfakeable

画像を説明するテキストなくても可
HEINZの公式YouTubeチャンネルで公開された動画「Heinz Unfakeable」より

 食品関連のコマーシャルは、どれもすごく美味しそうに見えますね。そして、これらのイメージがフードスタイリストによって演出されていることは、既に多くの方がご存知かと思います。バターには歯磨き粉が使用され、お肉には香ばしさを演出するのに靴墨が使われていたり。美味しそうに見える広告のイメージに対して「どうせ演出でしょ」と思われている方も多いと思います。

 そこでケチャップのメーカーであるHEINZ(ハインツ)は、ある実験を行いました。撮影の目的を明かさないまま、フード・スタイリストに、サンドイッチからピザまで様々なアイテムのスタイリングを依頼。ただ演出の過程を見てみると、ハインツのケチャップだけはそのまま使われていることがわかりました。そこでインタビューをしてみると「ハインツのケチャップは手を加える必要がない」ということ。演出しなくても美味い見た目をしており、視聴者が広告で目に知るHEINZのイメージに偽りはないですよ、という内容です。

 食品の広告イメージへの懐疑な目に対して、真正面から答えていった本キャンペーンは、メディアや視聴者から多くの関心を集めました。専門家からの評価もブランドの信頼度を強くする手法の一つとして考えられるでしょう。

次のページ
「歴史と実績」を活用する事例 ドラマミン - The Last Burf Bag

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/12/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47830

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング