デジタルマーケティングを取り巻く環境は、5つのステージに分けられる
昨今のデジタルマーケティングを取り巻く環境は、サードパーティーCookie問題や生成AIの発展による影響をはじめ、大きな変化に直面しています。また、今後のデジタルマーケティングにおいて、広告主がインハウス志向を持って主体的にディレクションすることの重要性が増してきています。
私たちアタラも、これからの時代に沿った支援を強化し新たなソリューションの提供や価値創出をしていけるよう、先般、マーケティングのプラットフォーム「ノバセル」を運営するノバセルと業務提携をしました。
同時に、この連載の著者である杉原・石永が、ノバセル社のエグゼクティブディレクターに就任させていただきました。今回の連載では、潮流が高まるデジタルマーケティングのインハウス化について解説します。
まずは、日本におけるデジタルマーケティングの変遷をお話ししていきます。1996年から始まった日本のインターネット広告は、この30年弱の間で大きく5つのステージに分けられます。
【デジタルマーケティングの歴史:5つのステージ】
・第1ステージ(1996年~2001年)
インターネット広告が始まった黎明期。バナー広告が出始め、総合代理店が中心となって従来のマスメディアでの取引スタイルをインターネット広告にも適用していた時代です。
・第2ステージ(2002年~2009年)
「インターネット広告革命」が起きた時代です。また、リスティング広告が拡大し、インターネット専業代理店が躍進し始めたのもこの頃です。
・第3ステージ(2010年~2015年)
スマートフォンの普及にともなってSNSのユーザーが増大し、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)やSSP(サプライサイドプラットフォーム)をはじめとするアドテクノロジーが進化しました。
・第4ステージ(2016年~2021年頃)
アドテクノロジーが成熟し、一定の市場淘汰が起こった時代です。その後、デジタル広告予算の過半数をGoogleやFacebookなどの大手プラットフォームが握るようになりました。
・第5ステージ(2021年頃~現在)
急速に進化する生成AIやサードパーティーCookie規制の問題など、大きな課題が同時多発的に押し寄せている混沌とした時代です。
第5ステージは媒体・プラットフォームの「超」分散期
この5つのステージの中から、現在地である第5ステージについて詳しく説明します。生成AIなどのテクノロジーが進化したことで、MFA(Made For Advertising)と呼ばれるページのほとんどを広告で占めるような質の悪いサイトに自動で広告が配信されてしまう問題が起きています。
さらに、おそらく2025年に到来するであろうChromeにトラッキングを許可するか否かを選択するオプトイン・オプトアウト機能の導入によって、ChromeのサードパーティーCookieのうち8~9割が無効になるというグローバル予想にともなう問題に直面するかもしれません。
これらの問題によって、デジタルマーケティングが残ったわずかなCookieとそれ以外の代替手段で補完する「ハイブリッドCookie時代」に突入し始めているのです。
ハイブリッドCookie時代に企業が生き残るための鍵は、質の高いファーストパーティーデータを活用することです。既に起きている特徴的な動きとして、GoogleやFacebookといった大手プラットフォーマーに加え、小売業・金融業などファーストパーティーCookieを保有する企業によるリテールメディアやコマースメディアの台頭が挙げられます。
そうして、媒体・プラットフォームが細分化されてきていることから、媒体・プラットフォームの「集約期」「分散期」というすみ分けに対して、この第5ステージは「超」分散期とも呼ばれています。