今後重要なのは「データ」と「インハウス志向のチームづくり」
これからの時代、デジタルマーケティングの運用において特に大事なことは、広告主がデータに対してオーナーシップを持つことです。
自社がどの広告を活用し、どういった結果を得たのか。さらに、コンバージョンがどれくらいあり、投資を継続した場合はどのように推移するのか。これらの一連の動きを広告主がきちんと把握し、社内でそのデータを蓄積しておくことが、最適予算配分のためのMMM(マーケティングミックスモデリング)やアトリビューション分析には不可欠です。
また、必要なデータが社内にそろっていて、すぐに扱える状態になっていると、投資判断における戦略・戦術・施策をより納得感を持って立てられるようになります。
上記のようにデータに対してオーナーシップを持つためには、広告の効果測定ツールの管理画面を広告主自身で管理し、効果を社内で解析した上で、広告代理店や外部パートナーに運用のディレクションをすることが求められます。
既に運用をアウトソースしていて、アカウントそのものを広告代理店や外部パートナー側で開設している場合は管理画面の開放を依頼し、そうでない場合は自社で新規開設することが第一歩です。
その上で、データの見方がわからないという壁に突き当たってしまったときには、広告代理店や外部パートナーと話しながら改善を進めたり、セカンドオピニオンのように「広告代理店の言っていることが本当に正しいのか」を確認するための第三者機関を設置したりするのが良いでしょう。
また、データを活用し、全体ディレクションのできるリーダーシップを持った人材が率いる、インハウス志向のチームづくりをすることも重要です。全体統合戦略に基づいて複数の施策やツール、データを社内の関係部門や広告代理店、外部パートナーと協力しながら統合し、一貫性のあるキャンペーンやマーケティングプロセスの実現につなげることを目指していきましょう。
バックアップ体制のあるミドルインハウス化が良い理由
広告主が自社でハンドリングし、全体ディレクションをすることの重要性の高まりから、日本でもデジタルマーケティングのインハウス化に取り組む広告主が増えてきています。
一口にインハウス化と言っても、パートナー協働型の「ライトインハウス」、パートナー併用型の「ミドルインハウス」、自社完結型の「ヘビーインハウス」と、体制にはグラデーションがあります。
私たちも普段ご支援をする中で、最初は意気込んで全部自社で賄うヘビーインハウスを希望される企業様は少なくありません。しかし実際には、大きな会社になればなるほど定期的に人事異動や退職が発生し、構築してきた体制がリセットされる問題に遭遇しやすいのが現実です。
異動や退職によって手薄になった際にも蓄積してきたものが崩れないように、私たちは社内外のバックアップ体制を保持できる、パートナー併用型のミドルインハウスを推奨しています。
社内の人員が減った状態で運用を続けていくとメンバーが疲弊してしまいかねません。しかし、社外のサポートやノウハウを一定レベルで担保しておけば、その間に新しいメンバーのトレーニングを並行して行える体制を構築できます。これらの理由から、インハウス化の一歩目としてはミドルインハウス化を進めていくのが良いでしょう。